カリフォルニアの火災査定人、ジャック・ウェイドがある豪邸での
火災調査をきっかけに、巨大な陰謀に巻き込まれていくお話。
ウィンズロウの本に共通していることだけど、出てくる人物がみん
な腹黒い(笑)。最初から本当のことを言っているのは、主人公とヒ
ロインだけなのではないかと思わせられる。もちろん、それが後のど
んでん返しにつながっていくわけで、意味もなく腹黒い人間を登場さ
せているわけではないはずだ。私は息つく間もない展開の速さがこの
作者のすごさの一つだと思うのだが、今作でもそれは健在。特に解決
に向かっていく後半部分の展開にはやはり引き込まれた。楽しめる内
容だと思う。ただ1000円という値段は、正直ちょっと高いです。
もう一つ、ウィンズロウが描く主人公は、孤独を愛する人間が多い
ように思う。ニール・ケアリーシリーズもそうだし、『歓喜の島』の
主人公ウォルター・ウィザースもそうだ。今作のジャックも類にもれ
ない。これは作者自身の投影なのか…相当変わった人らしいし。