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ウォータースライドをのぼれ (創元推理文庫)

価格: ¥1,155
カテゴリ: 文庫
ブランド: 東京創元社
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待ちました ★★★★★
いやあ、待たされました待ちました。シリーズ前作『高く孤独な道を行け』からなんと六年。ようやくのニール・ケアリー四作目です。
恋人と同棲中、所属する朋友会の仕事は休暇中、引退も考えているニールの元に現れた養父ジョー・グレアム。「簡単」だとの言葉を信じて仕事を引き受けたもののそう簡単にいくはずもなく、恋人カレンまで巻き込んだ大騒動が・・・。

前作までは、シリアスさの中の気の効いたジョークや無駄口、シニカルな笑いのバランスが絶妙でした。本作でもそれは同じなのですが、笑いの比重が大きくなっているよう、これまでと比べるとかなりコミカルで軽妙、ヘタをすればただのドタバタ劇で終わってしまいそうな事件ですが、そこはニール・ケアリー、決めるところはビッと決め、今までのファンを安心させてくれます。
『歓喜の島』で活躍した人物が、本作にも重要な役割を持った人物として登場しているのも、ウィンズロウのファンには嬉しい(そしてちょっと悲しい)おまけです。

このシリーズ、全五作なのだそうですが、最後の一作は後日談的な内容なんだとか。ということは、ニール・ケアリーが本格的に活躍するのはこれが最後ということなのかな?とても好きなシリーズなだけに、とても気になるところ。五作目も、早く読みたいような、読んでしまえばシリーズ終了なのでまだまだ読みたくないような、複雑な心境です。

次作はぜひ… ★★★★☆
 6年も待たされた(本当に待たされた)末のニール・ケアリーシリーズの最新刊。内容はウィンズロウらしさを存分に発揮している。プロットは秀逸で展開が速く、映画的である。驚異的などんでん返しがあるわけではないが、最後まで一気に読ませる力を持った小説であることは間違いない。登場人物も前作までのおなじみの面々が再び登場しているので、ファンは一安心といったところだろう(もちろん自分も)。
 個人的には、カレン・ホーリーがあまり好きになれないのと、前作までのようにニールの葛藤があまり書きこまれていない(大人になったのか…)ので、その分星一つ引かせてもらいました。カレンはちょっとなあ…いかにも「教師」という感じで、あの正義感がちょっと怖い(笑)。ただ言葉は悪いが、腹黒い人間ばかり登場するので、彼女は一種の清涼剤のような役割を果たしているのかもしれません。
 それにしても、6年は待たせすぎでしょう!!次作で完結らしいので、ぜひ短いインターバルで出してほしいものです。出版社にプレッシャーかけるしかないか…(笑)
失われていく瑞々しさ ★★★☆☆
ニール・ケアリー・シリーズは、第一作の「ストリート・キッズ」の印象が強すぎ、それと同等以上の内容を求めているためか、続編を読んでの感動が薄くなってしまう。今回、久しぶりに訳出された本作(第四作)は、ドタバタ喜劇っぽいつくりで面白いのだが、あんなに瑞々しかったニールの魅力が段々失われていっているのではと思う。主人公も年をとるので変わって当然なのだが、「ストリート・キッズ」に魅せられ、本が出るたびに期待して読み続けている読者としては、期待とは違う方向の作品なんですよね。
大人になったストリート・キッズの行く末は ★★★★☆
二ール・ケアリーものは何年かに一度の出版だけど作中でも同じように時間が経っているので、デヴュー時には少年と青年の境目にいた彼も本作でついに結婚。シリーズ残り1作は後日談的な内容になっているとのこと。

いままでよりスラプスティックス的な要素が強くなっており、その分、ご都合主義的な展開が目に付くけど楽しめる。

正直、あの「ストリート・キッズ」のシリーズで楽しめないはずがない、いや、頼むから楽しませてくれ、失望させないで。とゆーのが多くの読者の本音では。読んで損せずホッとひと安心というところ。

本当は、日本人の感性にバッチリあった第1作の設定でガンガン書きまくってくれれば良かったんだろうけど、そうはならずに第2作以降の展開には戸惑いながらも面白いからまあいいや、ってのが大方の感想だと思います。

本書でもニールの健気でひたむきで、でもちょっと生意気なところと憎めない軽口は健在。バシバシ母性本能に訴える拗ねようも。
ただ、もはやキッズではないニールの役回りは狂言回しに近い。マフィアを敵に回しても自分の彼女の側に立つってのを命を賭けながらもサラリとやってのけるところは流石だけど。

二ールものが、主人公の洒脱さをひたすら楽しむシリーズにならないことに気付いて少し残念に思っていたところに颯爽と現れたウォルター・ウィザーズ(「歓喜の島」の主人公)。そうかそうか、洒落と粋で主人公が生きていくには設定は50年~60年台黄金期のアメリカでなくてはね、とそちらのシリーズ化に期待していたら、本作にアル中で落ちぶれきったウォルターが出てくるんだよね。
この作者、どういうつもりだろう。分からん・・・。

頼むから、シリーズ最終巻で無様な二ールの姿だけは見せないで、と祈るファンなのであった。

おかえりなさい! ニール・ケアリー! ★★★★★
「ストリート・キッズ」(創元推理文庫)で鮮やかなデビューを果たしたニール・ケアリーシリーズの最新刊(4冊目)。前作が出てから、角川文庫よりノン・シリーズものが数冊出たあとは、ぱったり音沙汰なし。ドン・ウィンズロウの作品に飢えた年月を過ごしていました。数えてみると、なんと6年! 小学生が中学生になってしまう歳月、ひたすら我慢の子だったわけです。感動もひとしお。改めてシリーズを通読してから本作を読もうと思ったけれど、知人に本を貸したままなので、本棚を見ると歯抜け状態。いろんなことが忘却の彼方に飛び去ったまま、いきなり読み出したら、いきなりグワンと物語の世界に埋没していき、それこそウォータースライドを滑り落ちるように、アッという間に読了。ばたばた騒動の連続でとてもユーモラスな作品に仕上がっておりました。残すは最終巻。今度はせめて2010年までには読みたいですね。