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ストリート・キッズ (創元推理文庫)

価格: ¥1,155
カテゴリ: 文庫
ブランド: 東京創元社
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ナイーブで機転がきく青年探偵の長く切ないひと夏の活躍 ★★★★☆
『犬の力』で’09年、「このミステリーがすごい!」海外編で堂々第1位に輝いた、ドン・ウィンズロウの’91年のデビュー作。新人作家の初登場作品ながら、’04年、「このミステリーがすごい!」海外編で第2位にランクインしている。『犬の力』の重厚なサーガとは異なり、天性の機転のよさが光る、若い私立探偵ニールを主人公にした、オフビートな味わいの軽快なハードボイルドである。
ニールは、ヤク中で売春婦の母親を持ち、父親を知らない、いわばニューヨークの“ストリート・キッズ”だったが、才能を見出され、少年の頃からプロの探偵から稼業のイロハを教え込まれ、いまや立派な、英文学を研究する大学院生兼私立探偵組織<朋友会>のナンバー1の探偵だ。

時は1976年5月、彼は、来る8月の民主党全国大会で副大統領候補に推されることになっている上院議員から、行方不明の17才の娘探しを依頼される。ニールは、彼女の元同級生の目撃証言をもとにロンドンに向かう。ここに、夏のロンドンを舞台にした、決して品行方正とはいえない娘をめぐっての、ワルとの駆け引きが始まる。それは、ニールにとって、ナイーブな心を、減らず口の陰に隠してはたらく長く切ない夏となった。

少年の頃の探偵修行のエピソードの数々、トラウマとなって胸に残る探偵となってからの失敗。暑いロンドンでの張り込みの日々などを盛り込んで、メインのストーリーは展開する。そして胸のすくラスト。

本書は、文庫にして508ページに及ぶ長編だが、新人時代のウィンズロウの瑞々しくテンポのよい、軽妙洒脱な筆さばきと、東江一紀の名訳とがあいまって、ニール青年のひと夏の活躍をサクサクと一気読みで楽しむことができる。
人間臭さたっぷりの魅力的な主人公 ★★★★★
ハードボイルドに属する小説だと思うが、
主人公のニール・ケアリ−は
どちらかというと繊細な心を持つナイーブな青年。

過去の潜入捜査での失敗をトラウマに抱え、
人を傷つけたり裏切ることを嫌ってる。
そんな人間臭さを、斜に構えた態度や減らず口で隠す。
そんなリアリティある主人公にどんどん魅力を感じてくる。

アリーに対する複雑な想いも巧みに描かれ、恋愛小説さながら。

楽しさが盛り込まれたお得な一冊でした。
大好きな小説です ★★★★★
軽妙洒脱な語り口なのに、読み終わって切なさも残る。
このシリーズはいくつかあるけど、最初のこの話が一番好きです。
ジョン・Dへのオマージュも込められているのかも ★★★★★
 本書は、ニューヨークのストリート・キッド出身の探偵、ニール・ケアリーが活躍するシリーズの第一弾です。シリーズは5作から成り(本書→「仏陀の鏡への道」→「高く孤独な道を行け」→「ウォータースライドをのぼれ」→「砂漠で溺れるわけにはいかない」、いずれも創元推理文庫所収)、私は他の4作は未読ですが、ニールの生い立ちも描かれる本書から読み進めて恐らく正解だったでしょう。
 この作品の内容や魅力については、他のレビュアーの方たちに譲るとして、気付いた点を一点。
 「ストリート・キッズ」が世に出たのは1991年ですが、舞台は1976年ということで、途中、ニールが、ジョン・D・マクドナルドが著した探偵トラヴィス・マッギーものの小説の最新刊を読むくだりが出てきます。
 ニールは、ナイーブな心を減らず口で隠した探偵ですが、そういえばトラヴィスもナイーブな心を隠した男だし、ニールが本書の中で、ヒロインの回復に献身的に努める姿は、トラヴィスの初登場作「濃紺のさよなら」(ハヤカワ・ミステリ所収。なお、レオナルド・ディカプリオ主演で映画化されるという話もあります)を髣髴させるものがありました。
 「ストリート・キッズ」には、作者ドン・ウィンズロウのジョン・Dへのオマージュも込められているのかもしれませんね。
ありがちな設定・・・なのに非凡な物語。 ★★★★★
 生育環境には恵まれてないが聡明で世知にたける少年が、口と態度は悪いが愛してくれる男に出会い、探偵として仕込まれつつ育てられる。彼らの所属するのは、大金持ちの銀行家が運営する問題解決機関「朋友会」。
すごーくありがちで、どっかで聞いたことがあるような設定だけど、少年(主人公・ニール)と男(グレアム)のキャラが愛らしく魅力的で大好きになります。二人のやりとりを読んでると、にこにこしてしまうくらい。
 そんな人物が繰り広げるのが、エンタテイメントに富み、なおかつ、しっかり構成された物語なんだから(ラストまでよく練られていると思います)、面白くないわけがありません!ジャンルはハードボイルドとなってるけど、ハードボイルド好きじゃない読者でも存分に楽しめると思います。「小説」としての出来が最高だから。
 ニールが歩き回るロンドンの地理、真似して歩いてみたくなりますよ!