許し方: 他人を許すには、正確な“知識”が必要です。
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この本には、あなたの人生を激変させる可能性があります。
心を傷め、病んでいる人達に向けた、温もりに満ちた優しいメッセージの数々。スピリチュアル、心の救済系の自己啓発では、愛の洪水状態です。
これらのメッセージには、確かに力があります。慰めと高揚感をもって、強烈な“救われた”感覚を生み出します。
ではこれらのメッセージによって、どれ程の人達が辛さから抜け出し、幸福になれているのでしょうか。私の目から見れば、多くの人達をより過酷な状態に追い込んでいるように思えます。
彼らは過剰に愛に依存し、常に心の中を愛で満たさなければなりません。どこまで行っても、愛、愛、愛です。愛こそ全て。愛に勝るものなしです。その姿は、愛ジャンキーとさえ表現できます。
これはドラッグと同じです。ドラッグでハイになっている間は、多幸感に満たされます。薬が切れれば、辛い現実に真っ逆さま。だからドラッグから離れられない。依存してしまう。やっている事は、ドラッグの代わりに“愛”を持ってきただけです。
愛ジャンキーは、愛を心から切らさないよう、常に愛を求め続けます。過剰なまでに感謝を強要されたり、高次元の存在から受ける愛を想像し続けたりしなればなりません。この作業は引き換えとして、莫大な精神エネルギーを必要とします。本当の意味での、心の安らぎなどありません。一皮むけば、愛が切れる恐怖心に追われています。
「許し」をテーマにしたメッセージも、愛を利用した強行突破が目立ちます。確かに、愛は人を寛容にします。幸福にもします。寛容さはそのまま、許しへと繋がるでしょう。
メッセージ発信者たちは、おそらく気付いていないのです。心にある問題を解決しないまま、「愛さえあれば大丈夫」と済ませてしまう行為が、暴論に近いという事実に。怖がり、痛がりの愛ジャンキーを量産する、罪深い結果をもたらしている皮肉に。
幸福になる方法として、「酒を飲んで笑って騒げば良いんだ」と言っているのと、似たようなレベルです。
では、いったい何が、人を本当の意味で救うのでしょうか?
ただ一つ、“現実”です。
一切の脚色も誤魔化しもない、純粋な事実です。その知識だけが、人を成長させるのです。
ですから本書には、あなたを励ます言葉はありません。愛に満たされる、ふわっとしたメッセージもありません。あるのはただ、現実です。「人の心はこういう構造です。許すメカニズムはこうです。許せないのは、こういう原因があるからです。だからこうすれば、許せるようになります。」という、純粋な知識体系です。
多くの人が、本書に冷たさを感じると思います。けれどもそれは、優しさや愛でメッセージが薄まってしまうのを避けたからです。本当の意味で、あなたの人生を好転させたいとする思いからです。
本書の密度は濃いです。サラッと読んで、理解できるものではありません。一つ一つの文節に、多くの意味が含まれています。ゆっくりとしたペースで、頭と心に落とし込みながら読み進めていってください。
そして是非、人を許す本当の意味を知ってください。それがどれ程、あなたの心を平和にするのか、体感してください。
読み終わったなら、ぜひ二周目に入ってください。そして数か月後、また読み返してください。以後、何年経っても、読み返す毎に新しい発見があります。この本は、そのように作られています。
(序章より)