ファシリテーションを素早く知るには最適、構成が散漫と正直なところ感じた
★★★☆☆
つけた付箋の数がとても少なかった。新書なだけにすいすいと読み進めることができる。体系的にファシリテーションを学ぶというよりも、箴言集(アフォリズム)として捉えれば、良い価値の部分だけを参考にすればいいと気が楽になるので、そういった読み方で割り切ることにした。
そもそもファシリテーションという言葉は、8割ぐらいの人は知らないのかもしれない。司会者だけど、リードしてはいけない、促進するだけ。
でも実際には、主催者やリーダーが司会をすることが多く、さあ皆さんどうぞ決めてくださいというのがファシリテートだとすると、大きく脱線し失敗することになる。
リードしつつも、参加者に主体性を担ってもらうという極めて高等なコミュニケーション技術をファシリテーションと呼ぶことができ、身につければすごく役立つスキルになるが、そのためには実践あるのみだと強く感じる。その観点でこの本は、時々戻ってこれる基準点になりうる。
参考になった箇所は以下の通り、
→ファシリテーターは、人と人の橋渡し役
→問題を見つけたら、その原因を探し出し、原因を取り除く手をいくつか考え、その中から最適なものを基準で選びとっていく。仕事の基本中の基本。問題解決プロセス。
→共通の目的に気付かせることで、私とあなたの対立を、私たちと目的という構図に変換させる。
共通の利害を持つもの同士の対立は、まずは上位レベルで一致できる点を見つけて、上から順に議論していくというのが常套手段です。
→一段上のレベルを考えることで、頭の枠組みが少し広がる
→筋道のどこかに、動かせないものだと勝手に思い込んでいるポイントがあります。それを見つけ出し、別の角度から捉え直せば、違った筋道が見つかるかもしれません。
→多面的な角度から検討したという自負が、結論への信頼感や納得感を生みます。
“今すぐ”ファシリテーションを試してみたい方のガイドとしてお勧め
★★★★★
ファシリテーションが何かを知るということだけでなく、実際に試してみたい時に読むと、
非常に参考になる本です。
会議の場面で“使える”35のフレーズが、ファシリテーションに必要な4つのスキル順に
紹介されており、使用場面をイメージしながら学ぶことができます。
実際に、本書からのフレーズを使って、会議運営などで小さな成功体験を積むと、
ファシリテーションの醍醐味が実感できるのではないでしょうか。
周りに良いお手本がなくても、本書が十分にガイド役になってくれると思います。
ファシリテーションだけではなく、理性的に「場」と「メンバー」を導くための指南書
★★★★☆
会議という言葉を聞くと、この本の各種書評や前書きでも書いてあるとおり、大方、「大して意味のない」、「すでに結論が見えている」、「あのヒトがこう言ってこのひとがあんな感じで突っ込んで」、「結局、部長と過疎の上あたりの適当なさじ加減で適当に落ち着いて」とか、「アリバイ作りの品評会」、「嘘と虚構と欺瞞の仮面舞踏会」、「予定調和大作戦の涙ぐましい芝居ごっこ」というイメージが私にはあります。皆さんはどうでしょうか。要するに退屈なんですな。全く生産が上がらないというか、事務処理作業以上の生産すら持たないことが多い・・・・
しかしながら、課長や下っ端の部長からすれば、上役向けのアピール大作戦といった意味がエベレスト級に大きいから、それはそれで、大変意義深いことなんだろう。一生、フキダマリにしがみついているしか脳がない人にとっては。。
では、本当に意味のある時間を過ごし、短期的にも中長期気的にも組織として結果を出すことができて、尚且つメンバーのモチベーションを高く長く保つために、会議という手段はいかにして貢献できるのかをその手法の面からとらえたのが本書ではないか。
この本は新書本らしく、初心者にも分かり易く書かれ、即効性を持たせることを主眼に置いている。「ファシリテーション」とはなんぞやといったような抽象論にはあまり多くを割かずに、ファシリテーションの技術を場面、段階に応じて、「35のフレーズ」に分けて解説してある。そのため、読後にもピンポイントで目的の個所を読み返すことができるのも大きな特徴だと思う。
いかにも、習うより使ってナンボのファシリテーションという感じある。この本で、ファシリテーションとは何ぞや、に多くを割かなかったのは、ファシリテーションを日常的に実践する姿を通して、自分なりのファシリテーションを築きあげなさいと言いたいからではないだろうか。
会議の場でもビジネスの実践の場でも常にキーマンでありたいと思い、やがてはリーダーになりたいと思っている人にはお勧めします。この本で書かれているようなストーリー展開でまずは自分自身をマネージメントできるようになりたいと思います。
ファシリテーターとしての対話テクニック
★★★★☆
会議やプロジェクト推進の各場面に応じた、ファシリテーターとしての対話テクニックがぎっしり詰まってます。
* 対話を円滑にする
* メンバーの意見を引き出す
* まとめる、合意を形成する
これらは、すべて質問の仕方(発問)や受け答えの内容でうまく導くことができます。
経験でカバーできるところもあるが、本書にあるような対話方法は覚えておくと、チームをファシリテートする上で強力な武器になるだろう。
意識すべき「観点」が充実しており、ただのテクニック集では無い!
★★★★☆
日本におけるファシリテーションの第一人者の堀さんの書籍の1つです。
著者の「ファシリテーション入門」も、コミュニケーション系のスキルに
重点が置かれていましたが、それを具体化したような位置づけです。
フレーズ集として、テクニックとして言い回しの集合の要素が強いですが、
それぞれの言い回しの活用シーンの後に書かれている内容が、
ファシリテーターが意識すべき観点として非常に参考になります。
フレーズに目を通す前に観点だけを読み進めることでも、
テクニックとしてのフレーズ集とは違った活用の仕方ができます。
35のフレーズには、それぞれ「応用フレーズ」が3つずつ付いていますが、
そのまま使えそうな物も多いので、暗記しても良い位だと思います。
テクニック集の中でも実践的な良い1冊であると思います。