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系統樹思考の世界 (講談社現代新書)

価格: ¥819
カテゴリ: 新書
ブランド: 講談社
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動的なつながりで考える系統樹思考 ★★★★★
 著者の専門分野である進化生物学の知見を交えながら、科学の分野で旧来理論的主流を占めていた分類思考とは異質な「系統樹思考」のあらましを概説した新書。新書の魅力である、知的好奇心を刺激して他の書物を読みたくさせる、という役割は十分に果たしていて、なおかつお釣りがくるほど読んでいて面白い。

 内容は進化生物学に留まらず、歴史、宗教学、民俗学、文献学、言語学といった分野にも触れていて、それら諸学を横断的に貫く方法論としての系統樹思考を、科学哲学の視点から論じている。印象としては、科学哲学的な議論が一番自分に訴えてきた。分類思考で用いられる演繹と帰納の思考の輪が学問の境界を確定し、その内側で体系化していく思考態度をとるのと比べて、系統樹思考で用いられるアブダクションはより境界横断的で外側に広がっていく思考態度だ。上で挙げた学問対象は過去のモノ・コト・ヒトに関わっているが、そこで得られた視点は現在から未来に対しても敷衍して考えることが出来る。自分が自分なりに分野横断的に書物を読んでいるのもある種系統樹思考を試みていることで、そもそも書物を読むということのうちには分類思考とともに系統樹思考が本来的に含まれているのだと思う。

 また、本書を読んでいくと、議論の本筋とは違うが、理論的な言説に留まらず日常的な発言にしても、活字にして、または口に出して表現する考えのうちには何かしらの前提・仮定が必ずある、ということを改めて意識するようになった。昔経済学を学んだときにも講師がよく言っていたのを思い出した。そんな前提自体を問い直すのが哲学で、考えると、今はそんな問い直しがとても重要な時期ではないか、と思う。誰かの意見を丸呑みする前に、その人の前提を問い直してアブダクションで論証すること、それはリテラシーの第一歩だと思う。
歴史を科学するために ★★★★★
本書は、進化生物学・生物系統学者の著者による、系統学の入門書である。

”歴史をいかに科学するか”という問いに貫かれている本書は、生物学を例にとり、また科学哲学全般における主要な論点や著者の実体験を踏まえて、系統樹の歴史とその位置付け、使用法について幅広く説明している。

本書の前半部分からは、深遠なる歴史の系譜と、それに対する広大なる形而上学的思索を見渡す事が出来る。

後半部分は、歴史の系統推定法として著者が提案するアブダクションの説明にページが割かれている。

話題に上るトピックスの範囲はかなり幅広く、様々な分野における系統樹の存在について多くの知見を得られる。

確かに、他のレビューにあるように系統推定についてはやや突っ込み方が足りないとは思う。
数式まで持ち出した割には、基本の「き」ぐらいでやめてしまった感がある。
エピローグで著者自身が語るように、論点が絞れていないとの批判も当てはまると言えよう。

しかし、全編を通して随所に垣間見える、この世界の眺めを愉しむ”科学者としての著者”の気持ちは、同じ科学に携わる者としては痛いほどわかるのである。
読者にも同様の楽しみを提示する姿勢は、一定の評価に値するのではないかと思う。

著者が意図する以上に、思考者としての著者自身から学べるものは多かった。

また、本書において系統樹思考と対置されている分類思考についての著書も合わせて読むと、より立体的にこの分野の奥行きが掴める。

本書のレベルに関して、あくまで系統推定本としての”入門書”であり、哲学的な考察については、平易な文とは言えないかもしれない。注意が必要。
はっとさせられるアイデアの宝庫 ★★★★★
非常に刺激的で示唆的,面白い新書です.個人的にこの本からたくさんの考えるヒントが得られました.
なるほど生物の歴史はその系譜=木を具体的に考えることで科学的に論じることができる.しかしこれは生物に限った話ではなく,本書にある比較文献学の例もさることながら,構造を持ったものであればもう何でもそうですね.この「系統樹思考」によるアプローチのしかたは,対象が複雑すぎるがゆえに定性的な記述をやむなくされている諸研究領域にとってはけっこうな活路になるのではないでしょうか?
あと,内容はもちろんなのですが,本の書き方というか話の持っていき方というかスタイルがかっこいいですね.読書中,エーコの小説を読んでいるような気がしました.
良書です ★★★★★
系統樹思考というものを歴史的にも
一般人にもわかりやすく書かれていて、
とても理解しやすかった。
とても人間的なスケールの大きさを感じた。
学者さんってともすれば持論にはまりこみ
読者おいてけぼり(いわゆる本から拒否される)
状態になりがちなものですが。

筆者のおっしゃる、
「この本をヒントにあらゆるものを
世の中を見る目」が変革しました。

やっぱり分類グセがあるんですね…。
ルーツをたどる ★★★★☆
生物の進化だけではなく、怪文書や古文書など
現在から過去に遡る方法、"推定"。統計学では良く
使っていましたがこんな使い方もあるものだと感心。
著者の経歴から系統樹、そしてこういったルーツ探し。
話がかなり飛んでるように見えますが、抵抗無く読み進められます。