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オスマン帝国500年の平和 (興亡の世界史)

価格: ¥2,415
カテゴリ: 単行本
ブランド: 講談社
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オスマン帝国500年の平和 ★★★★☆
本書は、前近代において、トルコ人の帝国でも「イスラム帝国」でもなかったというオスマン帝国の実態を描くものである。日本におけるオスマン帝国の通史的研究と比較した時、本書は、歴代スルタンと宮廷政治、官僚機構、軍事などを中心とした通史的な総論を軸にしつつも、農民や商人、手工業者、女性ら「普通の人たち」に焦点を据えた社会史的な各論を各所に織り込み、大きく紙幅を割いている点が特徴的だろう。

前近代のバルカンとアナトリアのハイブリッドな実態と、そこから生まれた「何人のものでもない」オスマン朝が、バルカンやアナトリア、アラブ各地域の伝統を巧みに受け継ぎ、吸収し、様々な制度を混ぜ合わせつつ柔軟な統治を実現していく過程はやはり興味深い。月並みな表現だが、面白い時代があったんだなと感じさせる。
よくここまで調べたなぁと感心しました。 ★★★★☆
冒頭、オスマン帝国領土周辺のカラー地図や、主要な建築物の写真が、注釈つきで数ページにわたって掲載されています。
巻末には、オスマン帝国用語集と、オスマン帝国の年表(11世紀初〜20世紀前半)が、日本と世界の年表と対比されながら細かく記載されています。
文中にも、当時の領地を表す地図や参考資料が要所要所に入っており、当時の状況を正しくイメージしながら理解することができました。
ただ、文章に不必要な飾りが見受けられ、読み返さないと頭にストレートに入ってこない箇所がところどころあるのが少し残念でした。おそらく、参考文献に外国語著作が多く、他言語の影響を受けているのだろうと思いますが、内容が良いだけに日本語として少々読みづらい文章であることがもったいない気がいたします。
なので☆☆☆☆。
最新かつ公平な視点のオスマン史 ★★★★☆
 「セルジュクが定住してオスマンになったんだろう」などという浅い理解だった私のような素人にもわかりやすく教えてくれるオスマン史である。本文だけでも356ページだが、500年の通史としてみると、簡潔にするため著者はかなり苦労したに違いない。

 最も得心したのは、子どもの頃に教科書的に(正確に憶えていないので「的」である)習った「オスマントルコ」という概念が、西欧から見た考え方であったということ。国民国家=国である20世紀にはスルタンの支配の下、多民族・多宗教の帝国という実態が無視された。また現在のトルコ共和国も過去の栄光を利用するため、あえて「オスマン=トルコ人の国」というイメージを強調していた。

 しかし実際は大方のトルコ人も被支配民であり、オスマン臣民はトルコ、アラブ系のみならずギリシャやマケドニア、ブルガリアなど民族的には非常な広範囲に及んでいた。そして、イスラム法を施行してはいたが、「イスラムの教義を広めるため」のいわゆる「イスラム帝国」というイメージもまた正確ではない。

 本書は最新のオスマン研究に基づき、なぜこのような大帝国を500年もの長い間維持することができたか、またその終焉でいかに弱体化していったかを解く。

 ここで推薦された映画や小説などのフィクションもみてみたくなった。「トルコ人の国」ではないとわかっても、不思議な魅力を持った地域であることには変わりがない。
オスマン帝国研究の成果 ★★★★☆
 進歩著しいオスマン帝国研究の現時点の成果を示したもの。「トルコ人だけの国ではない」とは今では高校の世界史教科書程度には記載されているが、本書はさらに「イスラム帝国でさえなかった」と主張する。
 その建国から、ティムール帝国による危機、奇跡的な再建、コンスタンティノープルの征服、三大陸にまたがる大帝国の成立という経緯がよく理解できる。西欧中心史観からの「偏見」はもちろん一つ一つときほぐされ、ムラト、スレイマン、ハイレッティンといった英雄から官人中心の国家へと筆は進む。女性史や異教徒の扱い、文化史もバッチリ収められている。
 きわめて斬新な事実や史観が示されているというわけではないが、現時点の研究成果が得られる。中東やクルド、バルカンの民族主義はみなオスマン帝国の「末裔」に関わるものである。現代のわれわれの問題に取り組むうえで必要な知識を提供してくれる。
オスマン体制の終焉まで ★★★★★
「何人の国でもない」多民族・多宗教の国であったオスマン帝国を維持した
システム(オスマン体制)が外圧、民族主義、中央集権体制の弛緩によって
終焉していく十九世紀末までを中心として、オスマン帝国史を描いている。
「トルコ人の国」となっていったオスマン帝国が解体するまでの経緯は簡単
に触れられている。

オスマン帝国の誕生から領土拡大、オスマン官人の時代などの政治史、そして
帝国を支えた諸制度(官僚機構、ティマール制、徴税請負制など)に詳しい。
非イスラム教徒や女性など、帝国下の社会を構成していた人々の姿にも一章を割いている。
オスマン帝国とビザンツ・バルカンとの連続面など、帝国を「トルコ人の国」と
考えていると見落としてしまう点が押さえられている。

巻末の参考文献でオスマン帝国通史・全体像を知るために挙げられているのは、
西アジア史〈2〉イラン・トルコ (新版 世界各国史)
世界の歴史 15 (15) (中公文庫 S 22-15)
オスマン帝国―イスラム世界の「柔らかい専制」 (講談社現代新書)
オスマンvs.ヨーロッパ―〈トルコの脅威〉とは何だったのか (講談社選書メチエ (237))
オスマン帝国の時代 (世界史リブレット)