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遠い朝の本たち (ちくま文庫)

価格: ¥609
カテゴリ: 文庫
ブランド: 筑摩書房
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著者をもっと知りたくなりる不思議な文体です ★★★★☆
自らの意思でクリスチャンになり、読書家で、戦争体験があり、国際結婚をして、イタリアで生活をし、夫とは死別して、という須賀さんの個人的な事を知っていても、また知らなくても楽しめる、著者と本に纏わるあるいは、その本に、本を読んだときに由来する様々なものに対する感情や記憶や想いを綴った散文です。


とても特徴のある、語りかけているようで、突き放してもいるような、それでいて分かる人にだけ伝わればよい、と思わせたり、誰をも包み込むような話しかけ方だったり、と、著者をもっと知りたくなりる不思議な文体です。須賀さん特有の、誰にも真似出来ない、恐らく自身で掴み取ってきた複雑な生き様の後に達した所から発せられるものなので、誰にも真似出来ません。

中でも生涯の友人しげちゃんの話し「しげちゃんの昇天」と「赤い表紙の小さな本」は自身の個人的な思い出を語っているのに私の思い出を綴られているかのような親近感を与えて、とても不思議な章です。


本に興味のある方、須賀さんが好きな方、堀江 敏幸さんの散文による本の紹介が好きな方、及び女性にオススメ致します。
思い出の中の本たち ★★★★☆
小さいころ、誰にでもあった面白い本との記憶をよびおこしてくれます。
とりわけ、戦争体験や、まだ海外が遠かったころに受けた筆者の
読書を通じた深い感動が静かに語られています。
気分転換に一章ずつ読んでいくと豊かな気分になれるのではないでしょうか。

私はこの本のなかの「葦の中の声」という部分からアン・リンドバーグの
「海からの贈り物」を知りましたが、この本にも深い感銘を受けました。
取り上げられているものの中には絶版のものもあったかと思いますが、
それらの本を読めば、すばらしい読書体験を共有できると思います。

アルバムをめくるように、忘れ得ぬ本の思い出が綴られていく ★★★★★
人生のまだ「遠い朝」だった頃に出会った本たち。雪のひとひら、ひとひらが舞い落ちてきて、いつしか降り積もるように、須賀さんの心の引き出しにしまい込まれていった本たち。子供だった頃から無類の読書好きで、あれこれと本を読んでいった須賀さんが、スクリーンに投影するようにして、自分の心の糧となった本について語っていったエッセイ集です。

初めてその本に触れた時に、首をかしげてしまった言葉への疑問。それがある日、「ああ、あの言葉はこういうことだったのね」と、天啓のように脳裏にひらめくその瞬間。
初めてその本を読んだ時、記憶の中にとどめられた本の中の文章。それら文章たちが、オルゴールの蓋を開くと音楽が鳴り出すように、再び心によみがえるその瞬間。

そうした忘れ得ぬ瞬間を、本と自分とを結ぶ思い出の数々を紡いでいった須賀さんの文章の、なんて素敵なこと。わくわくしながら、引き込まれるように読んでいきました。

本をめぐるエッセイ集では、これまでは長田弘さんの『風のある生活』(講談社)がとっときの一冊でしたが、本書はそれに優るとも劣らない、とっときの二冊目になりました。

須賀さんの文章の見事なこと、そこに込められた思い出の生き生きと輝いていること。本を友とし、本の旅人と自他ともに認める方に、ぜひどうぞとお薦めしたい一冊です。

思い出が生きているってこういう事なんだと思いました。 ★★★★★
この本には、著者が幼かった頃、若かった頃に出会ったたくさんの本達がでてきます。でも主人公は、著者自身の心なんです。本との出会い、その本を通した人との出会い、そしてあの頃読んだ自分とあの時代との出会い、そしてあの頃の自分と今の自分との出会い。。色んな出会いが心の中で過去・今を超えてそこにあります。思い出を語るのは誰にでもできますが、感傷に浸ることはなく、「悲しいことも有るけどそれが人生よね」、と語り掛けてくれるように感じます。途中で急に割り込む会話調も、すごく良いです。とにかく安らぎます。
あの父の、娘 ★★★★★
読書をこよなく愛し、その幼いときの読書体験がこれほどまでに人の精神の髄に流れ込むさまは、やわらかくかつ弾力のある著者が綴る文体に溢れ出て、読後さわやかな感動を覚えた。50年代ヨーロッパに留学した著者に「日本語がだめになる」といって森鴎外の「即興詩人」を娘に送りつけたという父と修道服をまとったシスターが靴音も軽やかに歩くミッションスクールにて教育を受けたという著者は、まさに特別な人生を歩み稀有な才能を与えられた人であった。幼児期のエピソードにからめて次々に登場する本たちも、これからの読書リストに入れたいようなものばかりで楽しい.すでに他界されているのが、惜しい。