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作家の顔 (新潮文庫)

価格: ¥620
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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『ニイチェ雑感』について ★★★★☆
「政治的闘争は、いつも相手しか考えない犬の喧嘩の様なものであるが、そしてあらゆる論争好きは、このたわいもない又卑怯な技術に誘われるものだが、ニイチェくらい、人を攻撃し批判し而もこの誘惑から免れて天真な思想家はあるまい。理由は一つだ。彼はいつも自分と戦っていたからである。」

小林秀雄と言えば、MephistoWalkerの世代には、大学入試によく出る難しい文章を書く批評家というイメージでしたが、最近は入試の出題数も減り、受験生にもほとんど知られていないようです。実際、息子に名前を知っているかどうか聞いてみましたが、よくは知らない様子でした。今読んでも難解ですが、年をとったのでしょう、昔ほど難しいとは思いません。実際、このニーチェについての評論は、全く同感です。しかし、これを高校生に読ませるのは少し無茶な気もします。
個性的な作家精神の本質を説く ★★★★★
 新潮文庫の小林秀雄作品のなかでは地味な印象があるが、内容は大変充実している。正宗白鳥との論争に関わりがある「思想と実生活」や二つの志賀直哉論も必読だが、個人的には富永太郎論や中原中也論をぜひ読んでみてほしいと思う。たとえば、「富永太郎」は大正15年、小林20代前半に書かれたもので、その文体はあの「地獄の季節」そのものだ。小林秀雄の文学的教養の形成を考えるとき、中也と太郎は大きな存在である。

 それから、三つのランボオ論も所収されている。これらがすばらしいのは言うまでもない。批評という形式で書かれた、最高の青春文学である。その他、「パスカルの「パンセ」について」や「ニイチェ雑感」もおもしろい。「パスカルは、人間はあたかも脆弱な葦が考える様に考えねばならぬと言ったのである。」誰が、パンセの有名な言葉をこのように解釈しえたか。小林一流の強い逆説のバネが我々の思考の怠惰を活性化する。