無名茶碗(写真集): 埋もれている名碗を掘り出す やきものと茶の湯
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世に名碗と呼ばれるものはかなりの数に上り、美術館等に入っているものから個人蔵のものまで、あるいは、立派な銘のついているものから特に銘のないものまで様々である。ただ、それらに共通して言えるのは、既に確固たる地位が与えられていて、私たち一般人が手に入れることは不可能で、それどころか、見ることはできても触れることさえかなわない特別な存在であるということだ。従って、そういうものを追い求めるのは全く無駄なことで、それこそ雲をつかもうとするに等しいと言える。
ところがよくよく考えてみれば、それら名碗の多くは、造られたその時から名碗扱いされていたわけではないだろう。誰かが取り挙げ大事にしているうちに次第に名碗視されるようになり、ついにはその地位が確立したと言えるのではないだろうか。そう考えてみると、確か柳宗悦氏も言っていたと思うが、今は我々の目に止まってはいないが、将来は名碗扱いされる可能性のあるものが世の中にはまだかなりあるはずで、そういうものを如何に見出すかが今の我々にかかっているわけである。
そのような視点に立って、私は暇に任せてはあちらこちら見て回り、身近なものの中でこれはと思えるものを手に入れてきた。そのような、いわば私のやきもの遍歴の中で出会った数々の茶碗を、写真とその説明をまじえてここに紹介する。
無名茶碗/目次
はじめに
名碗について
和 物
[志 野] 志野草花文茶碗
志野檜垣文茶碗
無地志野茶碗
志野菊花文茶碗
鼠志野茶碗
志野梅文茶碗
[瀬戸黒] 瀬戸黒茶碗
[黄瀬戸] 黄瀬戸茶碗
[織 部] 黒織部茶碗
[唐 津] 青色斑唐津茶碗
絵唐津茶碗
斑唐津沓形茶碗
瀬戸唐津茶碗
絵唐津茶碗
[萩] 古萩茶碗
[その他] 白天目茶碗
高 麗 物
[井 戸] 井戸形茶碗(一)
井戸形茶碗(二)
井戸形茶碗(三)
井戸形茶碗(四)
小井戸茶碗
大井戸茶碗
[呉 器] 呉器形茶碗
御本呉器茶碗
[堅 手] 堅手茶碗
[その他] 李朝平茶碗
唐 物
[青 磁] 青磁茶碗
[付 録] 桃山美濃茶碗の造形の変遷
古伊賀水差「破袋」の「破れ」について
おわりに
(著者プロフィール)
公益社団法人 日本陶磁協会会員
茶道茶名取得