面白いけれども
★★★☆☆
発想、意外なところに
鍵となるファクターが出てくるのには
驚きであります。
ただし、
盛り上がりにはどうしても欠けてしまいます。
まあおしどり夫婦も年をとってしまいましたからね。
仕方ないことだと思います。
それと推理要素は
あまり期待しないほうがいいでしょう。
それは犯人が発覚したところで
わかってしまうことです。
本格推理じゃないので読みなれている人はそこに注意。
シリーズの中では
平凡なほうでしょう。
アガサクリスティの個人の感情が分かる
★★★★★
アガサクリスティが、自分の分身を物語に登場させるのは、
マープルはじめ、とても分かりやすい。
「映画で見るのは好きじゃない。原作どおりでないから。」
と言わせているところが、一番。
ああ、アガサクリスティは、そう思っていたのだと理解しました。
本に関する記述の端々に、アガサクリスティの読書感想がちりばめられている。
アガサクリスティのファンにとっては、貴重なものがたり。
のんびりムード
★★★★☆
探偵役はポアロでもマープルでもなく、トミーとタペンス老夫婦だ。
作品は事件そのものが、影も形も無いところから始まり、次第に古い事件をほじくり出す。
そのペースはきわめて遅く、薄皮を剥ぐが如く、事件そのものが、ゆっくりと浮かび上がる。
トミーとタペンス老夫婦は、老後を過ごすために、ある家に転居する。
作品は、この二人に、全くの平穏な老後を、提供するはずがない。
この家を二人が調べると、スケールの大きい因縁に発展する。
この作品は、クリスティ自身が、80歳を超えて書き上げた作品らしい。
作品の進展は、のどかで牧歌的で、至ってのんびりムードだ。
あまりスリルは無いが、熟練の匠を感じる。
正直言って、作品の内容は、少しつかみにくかった。
その点は、熟読するか、繰り返し読む事で、補う事が出来た。
本書は、のんびりペースで、読書をじっくりと楽しむ方には、とても楽しいと思う。
タペンス最後の冒険
★★★★☆
これは作者最後の作品で,当然注目されて然るべき物なのに,内外の評判は至って良くない.私も,最近新装版で読み直した時も,何が書いてあるのか判らなかった.しかし,トミーとタペンス,特にタペンスのファンとして,再読して判った.古い殺人(スパイ事件がらみ)のあった屋敷を知らずにべレズフォード夫妻が老年の棲家として買った.この事件は,今でも政治的に死んではいない.そこで今の事情を知らない程に歳をとってしまったタペンスが昔の事件を追求するあまり,現在のトラブルに巻き込まれる.ともかく過去と現在の問題は目出度く解決.問題の時間的重層性と,べレズフォード夫妻の老年性のリアルな描写が,判り難い原因らしい.トミーとタペンス物なので,NかMか が頻繁に引用されるので,これをまず読み,親指のうずき でスローペースになじんで置くのがよい.なお,翻訳には言いたいことが沢山あるが,省略する.