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NかMか (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

価格: ¥903
カテゴリ: 文庫
ブランド: 早川書房
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ハラハラドキドキ! ★★★★☆
まさにこの表現がぴったり当てはまる
スパイ小説。
トミーはタペンスをうまくだましおおせたと思っていたのに
なんと先回りされていたのだ!!

この二人が出てくる作品のため
必ず1回どちらかが生命の危機にさらされます。
今回はトミーのほう。
そう、追い求めていた片方に
捕らえられてしまうわけで。

推理のほうは片方は
名前が出てくるので容易。
もう片方はよく気をつけないと
最後までわからないはずです。

でも純粋に冒険小説として
楽しめるので、推理なしでも
十分楽しめますよ。
『秘密機関』から20年後のトミーとタペンス ★★★☆☆
本書は第二次大戦の最中の1941年に発表された、トミーとタペンスものの前作長編『秘密機関』から約20年後の作品である。

作品の中でも20年が経過しており、今では二人年老い、仕事にあぶれ、平凡で退屈な日々に明け暮れるそんなある日、情報局からトミーに新たな指令が与えられた。それはドイツ軍のスパイ、「NかM」を突き止めるというもの。ただしタペンスには内密にだが...。

手に汗握る冒険とロマンスに彩られた『秘密機関』や同系統の『チムニーズ館の秘密』、『茶色の服の男』などはポジティブで明るい作風だったが、本書はこれら初期作品に比べ起伏が少なく、私には退屈だった。

『秘密機関』など初期の一連の冒険ものは夢物語のようで現実性には欠けてはいたが、その分、作者は純粋に作品を楽しんで書いていたように思われ、その楽しさが読む側にも伝わってきたものだが、推理作家の第一人者となってしまった作者自身、もうそんな作品は書けなくなってしまったのだろう。

なお、本書には「があがあ、がちょうのお出ましだ」というマザーグースが用いられ、これがひとつのキー・ワードになっている。
解説を読んで ★★★★★
トミー&タペンスものですが、ドイツとの戦争状態での話しです。
ドイツ側からみても、納得できる部分もありますが、
一面的なところがあるのはやむをえないかもしれません。

皮肉もところどころあるので、イギリス人の考え方に陶酔しているのではないことが伺えます。
違和感のある事項がでてきたので、話の途中で、関係者が分かりました。
首謀者はわかりませんでした。

解説に、映像作品についての紹介がありました。
ポアロとマープルもの以外は診たことが無いので、かならずしもピンと来ていません。

ながらくポアロものの映像作品を見てきました。
最近、英語の勉強のためにマープル物のDVDを揃えた際に、
ポアロものと同じ著者だと知り、著者に興味を覚えたため、
全作品を読もうと読み出したところです。

アガサクリスティの題材は、映像作品にしやすいのは、
「プロット」がしっかりしているからなのでしょうか。
真実は細部に宿る ★★★★★
冒険ミステリーとありますが、半分くらいまで、はっきりいって地味です。
が、しかし。そこがアガサ=クリスティーのすごいところで、
小さな小さな世界である、村の中、しかも「無憂荘」という宿の中での数名の人物たちの描き方が非常にスリリングなのです。
地味なんだけど、人間描写、人間観察のおもしろさに引き込まれて、
ぐいぐい頁をめくってしまいます。
ミス・マープルものが好きな人なら非常に楽しめると思います。

一体、誰がスパイなのか、そもそもこんな暢気そうな人たちの中にドイツのスパイなどがいるのか。地味だけど手に汗握ります。

後半からは、物語がいよいよ動き、冒険サスペンスものになっていきますが、
個人的には前半の人間観察を描いた部分が好きです。

前半部分の微に入りさいにうがった描写の中に、まさに真実が紛れています。


アガサのエンターテイメントの逸品 ★★★★★
知る人ぞ知るトミーとタペンスの冒険ミステリシリーズの第三弾である。アガサのミステリの中で、「読んで楽しい」ものといえば、このトミーとタペンスシリーズにとどめをさす。ミステリを、「読んで楽しい」などと書くと、いぶかる向きもあるかもしれないが、本当なのである。元々、アガサのウイットとユーモアの効いた、センスの良い文章力には、ミステリ作家として抜群のものがあるのだが、深刻な殺人事件が題材になると、ウイットとユーモアもほどほどに、ということになる。しかし、冒険ミステリなら、そんな手加減はいらないわけである。特に、トミーとタペンスとの間で交わされるウイットとユーモアの効いた、テンポのよい絶妙な掛け合いは、それだけで一つの小説に書き上げてほしいくらいである。

さて、物語だが、時は第二次世界大戦開戦直後。英国情報部の依頼を受けたトミーは、コードネームをNとMという二人の謎のドイツのスパイを探るため、二人が住んでいると思われる海辺保養地の下宿「無憂荘」に、住人として潜り込むことになった。しかし、下宿の女主人に住人を紹介されたトミーは、いきなり、あり得ない出来事に出くわし、息を呑むことになる。誘拐あり、殺人あり、恋愛あり、もちろん、トミーとタペンスの大ピンチありの、冒険活劇の始まりである。

ちなみに、全ての謎が解き明かされた後に、アガサが用意したエピソードが、何とも粋で、心暖まるものであり、素晴らしい。エンターテイメントのエンディングは、こうでなくっちゃネ!