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親指のうずき (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

価格: ¥945
カテゴリ: 文庫
ブランド: 早川書房
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トミーとタペンスの好奇心と行動力は健在 ★★★★☆
久々のトミーとタペンスもの。余りにご無沙汰だったため、読者の要求によって書かれた由。二人共中年過ぎになっているが好奇心と行動力は健在である。モチーフは「マクベス夫人」。NHK衛星放映のドラマでは、マープルがタペンスのアドバイザー役として出ていて、目が点になったが。

トミーとタペンスがトミーの叔母が余生を送る女性専用の養老院を訪ねるのが発端。その6週間後叔母が亡くなり、遺品引き取りに行った際、タペンスは叔母の部屋にあった一枚の風景画に「見た記憶がある」と思う。その絵は叔母が亡くなる前に、別の老婦人から譲り受けた物だった。タペンスは上述の訪問時、その老婦人から不気味な言葉を聞かされていた。そしてその老婦人は叔母の死と時を同じくして、強制的に養老院から連れ去られていた。二人の死と失踪は偶然とは思えない。好奇心に駆られ、記憶をたどり、その風景画の実在場所を一人探し求めるタペンス。仕事のためイギリスを離れていたトミーもその探索に加わる。そして、二人が探し当てたものとは...。

前半はタペンスの好奇心と行動力で引っ張り、後半はトミーの落ち着いた観察眼が加わるという巧みな展開の上、前半のミスリードがクリスティらしい老練さを感じさせる。派手な謎解きではないものの、二人の行動によって一歩づつ真相に近づいて行く様子が美しい田園風景をバックに悠揚迫らぬ筆致で描かれ、如何にも英国ミステリらしい雰囲気を醸し出している。明かされる真相が人間心理や村の因習に深く係わっている点もクリスティらしい。楽しい一時を過ごせる一作だと思う。
イギリスの風景が思い浮かぶ ★★★★★
イギリスの風景の映像が思い浮かぶ作品です。
クラッシック音楽を背景に、風景や鉄道の映像を流すテレビ番組が多いので、
情景がなんとなく思い浮かぶことができました。

タペンスが、司祭の娘だということも、大事な展開に役立っています。
いろいろな犯罪がどう処理されたかの整理が多少わかりにくかったようです。

作品としては、よいできだと思いました。
映像作品を見ていませんが、ぜひ作りたいと思いました。
クリスティーに脱帽。 ★★★★★
冒険、本格推理、サスペンス、ユーモア、なんでもありのエンターテイメント。
実に愉しい本です。

テンポが少しスローなのが減点ですが、それも味があってよろしい。

ヒッチコックの「ファミリー・プロット」みたいな映像が思い浮かびました。


魅力的で印象的な女性達 ★★★★☆
ポワロとミス・マープルはいろいろ読んだが、おしどり探偵トミー&タペンスのシリーズは初めてでした。他の二シリーズとは、かなり趣が違っていました。
本格推理の醍醐味である意表ををつくようなトリックはなく、サスペンス性を追ってダイナミックな展開の作品です。本格推理になるとどうしても現実感が薄くトリッキーなストーリー展開になるのですが、本作品は、人間の描写、人間関係の描写が、イギリスの郊外のシンプルな生活風景の中に良く調和していて現実感があります。特に、女性の心理の描き方がしっかりしています。この物語の中にも多くの女性が登場しますが、その個性の違いがはっきりして見事です。
特に印象的だったのは、亡くした子どものショックが一生を支配している女性や、一生報われぬ愛に身を捧げる女性などでした。もちろん、タペンスの優しさの中にある無鉄砲さも魅力的でした。
日常性の中の恐怖 ★★★★★
トミーもタペンスも,中年を過ぎた.老人ホームに入っていた伯母の形見に貰った絵に描かれた家にタペンスは強い既視感をおぼえ,トミーの出張中にこの家を見に出かけて事件に巻き込まれる.これまでの事件と違い,進行はゆっくりだが,なにせ極く日常的な雰囲気の中で爆発するので,怖ろしさは格別.かわいそうにタペンスは二回意識不明におちいる.大仕掛けな犯罪の一端がお蔭で明らかになる.この作品の持ち味は,前作 NかMか と最終作 運命の裏木戸 のほぼ中間のように感じられる.翻訳は上出来.