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チムニーズ館の秘密 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

価格: ¥840
カテゴリ: 文庫
ブランド: 早川書房
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アンソニー・ケイドって誰 ★★★★★
主人公格のアンソニー・ケイドが、本当はどういう性格の人かが、最後まで分からなかった。
アガサクリスティに政治的な話題が多いのは、いろいろな国に行ったことがあるためだろうか。

他の作品のような経験に基づいた話ではなく、こういう経験が面白いだろうという想像上の作品。
よく国王、皇太子が出てくるのは、まだアガサクリスティの生まれた時代には、ヨーロッパにも王国が多かったせいだろうか。
あるいは、アジア、アフリカの王国から、ヨーロッパに勉強に来ている皇太子などが多かったからだろうか。

ちなみに、日本の昔の皇太子も英国で教育を受けていたらしい。

作者冒険ものの最高傑作。 ★★★★★
名作『アクロイド殺し』の前年の1925年に発表された冒険ミステリーで、このジャンルでは他にも『秘密機関』や本書の番外編のような(というか登場人物が共通するだけだが)『七つの時計』などの傑作があるが、中でも本書が一番面白いと思う。
全体的に英国流のユーモアあふれるドタバタ劇のような作品で、主人公のロマンスも交え理屈ぬきで楽しめる。

旧友からバルカン半島の小国、ヘルツォスロヴァキアの元総理が書いた回想録を、替わりにロンドンの出版社に持参して欲しいと頼まれたアンソニー・ケイドがその回想録を携えてイギリスに帰国したところ、宝石泥棒のキング・ヴィクターや王政復古派のレッド・ハンド党から襲われ、さらには死体の発見に巻き込まれるなど、事件の連続。
そんな中、チムニーズ館でまさにそのヘルツォスロヴァキアのミカエル王子が射殺される。果たして王子を殺したのは誰か、キング・ヴィクターとは何者か、様々な謎が交錯し...、というのが本書のざっとのあらすじ。

本書は本格推理作品ではないので、誰が犯人か、またキング・ヴィクターが誰に扮装しているかを推理で解き明かすことはできないが(キング・ヴィクターが何者かは何となくわかりそうだが)、だからこそ肩肘張らず気楽に読める作品である。
またこれらの謎のほか、もう一つ最後に明かされる謎があり、本書はこれが「ミソ」である。

なお、後に『ひらいたトランプ』でポアロと共演したり『ゼロ時間へ』で活躍するバトル警視が初登場するが、本書では主人公に警戒される存在ではあるけれども、あくまでも脇役である。
クリスティーのたくらみ ★★★★★
 ヘルツォスロヴァキアの王政復古をめぐる争い、宝石をねらう大泥棒、挙動不審な人物達など、さまざまな要素が入り乱れる冒険ミステリ。バトル警視が初登場する作品でもあります。クリスティーの色々なたくらみが最後に明らかになり、驚かされました。僕はあることに目をつけていたのですが、全くの見当違いでした。
 登場人物については、主人公のアンソニー・ケイドやヴァージニア・レヴェルも魅力的ですが、僕が一番気に入ったのは、ケイタラム卿です。主人公はつかみどころがない人物なので、感情移入がしにくいかな、と思います。
何でもあり! ★★★★★
時代は第一次世界大戦後。英国史上屈指の貴族の邸宅「チムニーズ館」を舞台に殺人事件、暗殺、政治家たちの暴露本争い、資源をめぐる駆引き、悪名高い大泥棒と消えた秘宝、革命と王位争い、そして人生を変える大恋愛、と何でもありでホントに楽しめます!
読んだ後も爽快です。
アガサの「冒険ミステリの時代」の傑作の一つ ★★★★★
アガサは、その50年以上に及ぶ作家生活の中で、冒険ミステリのジャンルに色分けできる作品を8,9冊は書いているのだが、デビュー2年後の1922年から1929年にかけて、何とそのうちの5冊も書いているのだ。内容的にも、本書や、「秘密機関」、「茶色の服の男」といった傑作が目白押しであり、冒険ミステリとしての面白さといった点では、総じて、若かりし頃に書いたこれらの作品の方が、筆使いが熟しているはずの後年の作品よりも上回っている。まさに、1920年代は、アガサの「冒険ミステリの時代」といっていいだろう。 

アガサは、その自伝で、この「チムニーズ館の秘密」について、「完全に軽い読み物で、書くのがおもしろくて、早かったし、またこの時期いろんなことがうまくいっていて、それがわたしの作品に気楽な軽いものとして反映していた」と語っている。たしかに、ユーモアとウイットに溢れ、スラスラと流れるように軽快な文体からは、作者自身が楽しみながら、一気に書き上げた様子が伝わってくるのは事実なのだが、作者の謙遜を込めたこの「軽い」、「気楽な」といった言葉を真に受けて、あなどることなかれなのである。  

各国の王族や外交官が集う社交の場、チムニーズ館で、バルカンのある国の王子の殺人事件が起きる。事件には、政権の行方を左右する石油利権や回顧録の存在が絡んで、共和制維持派と王政復古派、英米の資本グループ、アフリカ帰りの謎の男、各国の名刑事から、果ては正体不明の変装の名人の宝石泥棒までが入り乱れ、才色兼備の若い女性を巡る恐喝事件とロマンスも間に挟み、面白いことこの上なしなのだ。最後には、「株主総会」と称する関係者が一堂に会した中での本格派ミステリ並のあっと驚くどんでん返しも用意しており、入り乱れた人間関係とストーリーも、しっかりと収束してみせる。気楽に書いて、こんな面白い作品では、並の作家はたまらないだろう。