元警官らしさが少しないのは
★★★★★
主人公は、元警官だという。
全体を読んでみると、元警官らしいところにあまり気がつかなかった。
元警官らしさが少しないのは、アガサクリスティが警官の経験がないためだろうか。
あるいは、親しい人で警官がいないのだろうか。
少し読み進むうちに、犯人がある女性ではないかと心配になっていった。
あまりにも、犯人は男性だと決めつけていることからだ。
また、アガサクリスティの小説では、思わぬ人が犯人のことがあるので、
この人ではないかと思い、めぼしをつけながら読み進んだ。
殺人は容易だという題目だが、物語が始まってから起こった2件の殺人は、
主人公の知らない間に起こっている。
現場検証にも行っていない。
主人公の目前で起こった殺人は1件だけ。
最後の殺人は食い止めれた。
殺人は容易ではないことが分った。
「現実に根ざして・・・」(本文から)
★★★★★
かくれんぼは完璧に隠れとおすと遊びではなくなります。
見つけられるために、見つけられないために、
偽装することがエッセンスで、楽しいことでもあります。
マダム・クリスティーとのかくれんぼ、
最後はハラハラ・ドキドキの手に汗握る展開でした。
このタイトル、カバーの写真、すべてが作品が凝縮している秀作
★★★★★
最初に、「連続殺人が平然と行われている」と話す偶然に同席になった老婆の「たわごと」を聞いたばかりに、元植民地警官ルークは、老婆の事故死、それに続く老婆の予告通りの医師の死亡から「たわごと」でなかった事をに愕然とする。話の最初から、すごい展開になり一気に引き込まれる。
調査のため、老婆の村に乗り込むが・・・何とも一気に読める展開のよさと意外な展開!またまた犯人を外した私。
アガサの罠(トリック)にはまってしまった。この作品は躍動感がある。「ゼロ時間」や「五匹の豚」とも違う独特の緊迫感がある。最後に危機が迫って緊迫し、ハラハラドキドキ感では一番だろう。
この後に書かれた作品が「そして誰もいなくなった」であるのがわかった気がする。
ルークを素人探偵に仕立ててストーリーが展開し、バトル警部も登場するが、それがまたいい!
初めてアガサ作品を読む人には読みやすさ、緊迫感、意外性、興味をそそる展開力、筋書きの素晴らしさなど一番の「オススメ」です。
「殺人は容易だ」と彼女は言った
★★★★★
いわゆるノンシリーズといわれる、
クリスティのシリーズもの探偵が出てこないお話です。
扇情的なタイトルは、このお話のテーマでもあります。
主人公のルークは、元植民地の警察官。
イギリスに戻ってすぐ、典型的なイギリスの老婦人と
電車で乗り合わせます。
老婦人はルークに、自分の村で起きている連続殺人と
それが誰にも知られていないこと、
自分は次の犯行を防ぐ為、今から警察に行くのだと告げます。
この時彼女は「殺人は容易だ」誰にも疑われていなければ、と告げます。
その時は本気にしていなかったルークですが、新聞で
彼女が直後に殺されていたこと、
そして彼女が次の犠牲者だと挙げた人物が殺されたことで
犯人を捜すため、その村へ向かうことにした。
冒頭からひきこまれ、ラストまですごいと思わせる作品のひとつ。
ルークと、頭が良くて気も強めのブリジェットとのロマンスも
このお話が好きな要因のひとつです。
ポワロでもマープルでもないが
★★★☆☆
ポワロでもマープルでもない作品。
元警官といっても、主人公ルークは名探偵ではない。何だかお前、それちょっと違うんじゃないか、という推理をブツブツ一人で呟いている。多くの人間が死んでいるのに、と読んでいるこっちはワクワクよりはイライラしてくるほどだ。ヒロインのブリジェットのほうが賢いほど。
犯人については、割と早く気付く――と思いきや、一筋縄で行かないのがクリスティ。さすがという他はない。最も犯人らしからぬ人物を疑え!