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貧者の晩餐会 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

価格: ¥1,680
カテゴリ: 新書
ブランド: 早川書房
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イギリスの文学哲学音楽美術ネタ満載のバラエティ豊かな短編集 ★★★☆☆
ミステリの枠の中で、
バラエティ豊かな作品を書こうと努力しているのは読み取れるが、
結末の切れ味は悪い。
CWA賞を受賞した「動いているハーバート」が、
文学哲学音楽美術と、ディレッタントに溢れていて楽しいが、
ラストがやっぱいまいち。
完全犯罪をやり続けて来たキュレイターに、
ジャック・ケルアックの友人が探偵役として立ち塞がる、
というワクワクする展開だが、
贋作と真作を見分けるトリックがいまいち。
美術ネタとして哲学的に深いのだが、
ミステリとしてのトリックが小粒でもったいない作品。
ディーコン・ブローディが登場する作品もあるし、
イギリスの文学歴史が好きな人には、
イギリスネタ満載で楽しめるだろう。
贅を尽くした『貧者の晩餐会』、お試しあれ! ★★★★★
 リーバス警部シリーズで知られるイアン・ランキンの短編集。リーバス警部もの7編を含む21編が収録されている。

 イアン・ランキンを読むのは初めてだが、しっかり楽しめた。リーバス警部ものに見られるエジンバラの雰囲気に惹かれる。エジンバラ城、ウォルター・スコット記念塔、細い路地、突風。直に味わってみたい。猪突猛進型でちょっぴり皮肉屋だけどどこか憎めないリーバス警部はかなり好みである。シリーズとおして読んでみたい。

 この短編集の中では『キャッスル・デンジャラス』『一人遊び』が好み。『サンタクロースなんていない』で出てきたディケンズ絡みのミステリ・ディナー、楽しそうだ。

 リーバス警部もの以外は時代設定も舞台もとりどりである。『動いているハーバート』はCWA賞最優秀短篇賞受賞作。18世紀末が舞台の『大蛇の背中』、最後の叫びが哀切な『吊された男』、確かに会計の原則だとつぶやいてしまった『会計の原則』などが特に印象に残っているが、こうして書いているとどれも捨てがたく思われる。

 とりどりに趣をたたえ、短編小説を読む楽しみを堪能させてくれる。贅を尽くした『貧者の晩餐会』、お試しあれ!

リーバス刑事もの7編を含む短編集 ★★★★☆
イアン・ランキンといえばリーバスシリーズですが、この短編集は、それ以外の短編を多く含んでいます。
リーバスものは、短編でも持ち味が生きていて、思わずニヤリとする場面も多々あります。
他の短編も犯罪ものですが、リーバスものとは全然雰囲気が違い、リーバスシリーズしか読んでいなかった私にはとても新鮮でした。
どれも、まとまりがよく、駄作無しです。
その中でも「グリマー」は私のお気に入り。
ドラックとロックという要素が絡み合った退廃的な物語です。
1冊の本の中に21編もの多くの短編が収められていますが、それぞれが短く、且ついろいろな味わいがあるので飽きさせません。
また、リーバスシリーズを読んでいない方の入門書としてお勧めします。