アトミックアウェイクニング 原子の発見からマンハッタン計画、そして原子力発電へ アトミック三部作
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誰でも原子力について“語れるようになる”本。
キュリー夫人、ラザフォード、アインシュタイン……
原子力に未来はあるのか。米国原子力分野の第一人者である著者が綴る、原子力の誕生と発展、そして挫折、再起のものがたり。原子論の発展に始まり、電磁気、放射線の発見を経て、核分裂、原子爆弾、原子力発電に至る原子核物理学・原子力技術の歴史をまとめた本書は、原子力の数奇な歴史を時代別に三段階に分け、それぞれをファンタジー、パズル、パラドックスの時代として分かりやすく解説している。
原子構造が解明され、相対性理論、量子力学の発展により原子核に秘められたエネルギーの謎が解き明かされ、これで地球の未来はバラ色……と思われたその時、それまでの1世紀にわたる研究の成果を如実に示したのが広島・長崎の原爆であった。かくして「核」は人類の敵となってしまった。これではいかんと科学者・技術者はこぞって核の平和利用に向けて努力を始めた。しかし暗い影を引きずるその歴史は、まさにイバラの道であった……
原書は東日本大震災前の2009年に刊行されており、福島第一原発事故を経てからの未来考察は続編の『アトミックアクシデント』を参考にしてほしい。
本書は、米国原子力分野の第一人者である著者の徹底した取材・調査に基づく詳細な記録を元にした、原子力と人類の未来を考察する三部作の中の一冊である。その筋の専門家らしく非常に専門的で高度な内容を押さえつつも、物理学の素地がない読者にも分かりやすい文章、臨場感に溢れウィットに富んだ解説が続く。ノンフィクションでありながら、推理小説のようであり、冒険小説でもあり、ミステリーでもあり、そしてもちろん科学的な記録文書でもある。三部作のどれから読んでもOK。
【目次】
序 文 内輪のジョーク
序 章 ファンタジーの中のパズルの中のパラドックス
第1部 ファンタジー
1-1 見えない魔物
1-2 残されたいくつかの問題
1-3 アインシュタインの爆弾
1-4 宇宙の反対側 — 相対性理論と量子力学
1-5 原子核の秘密
第2部 パズル
2-1 天才の偶発的集積
2-2 ドイツ帝国の脅威
2-3 闇の中の衝撃
2-4 トンネルの入口の光
2-5 戦後の計画
第3部 パラドックス
3-1 原子カレース
3-2 運河掘削,癌治療,そして木星へ
3-3 黒鉛炉が火事だ!
3-4 原子力ロケット・原子力航空機
3-5 建設ラッシュ,挫折,そして再起へ
エピローグ 放射能公園
【著者】
ジェームズ・マハフィー
ジェームズ・マハフィー博士はジョージア工科大学にて上級研究員を務め、この間に米国防衛原子力局を始めとした数々の公的機関・民間企業でプロジェクトを指導、遂行した。またジョージア州ハッチ原子力発電所では、スリーマイル島事故後の安全システム開発の指揮にあたった。ジョージア工科大学に25年間勤務した後、民間企業の先端研究部門責任者や技術部門責任者を歴任した。
現在はフルタイムで著述業、コンサルタント業に従事。自身の専門分野に関して多数講演し、その巧みで分かりやすく、また楽しいトークには定評がある。
【翻訳者】
百島祐貴
慶應義塾大学病院予防医療センター 放射線科専門医
【監訳者】
林﨑規託
東京工業大学准教授