たまらない胸騒ぎ
★★★★★
ウィーズナーはこれが初めてでしたが、
宮崎駿映画を見るときのようなあのたまらない胸騒ぎ、
未知の世界へのいざないがこの短い絵本にはあります。
言葉はなくても、あるいはないからこそなのか
波の音、少年の息遣いまでありありと聞こえてくる。
何度も読んでいるのに、少年が写真を見て目を見開くシーンで
毎回ドキドキして息をのんでしまいます。
あまりにも秀逸で子供だけのものにしておくには本当にもったいないと思います。
時間を超えた記念撮影
★★★★★
浜辺に流れ着いた年代物のカメラ、中のフイルムを現像すると
見たこともない海底の様子が写されています。
地上の人間界にも通じるユーモラスな写真もあれば(私は魚の家族の絵本の読み聞かせの一枚が好きです)、
幻想的な物もあり・・・とそれだけでも十分楽しませるところですが、
流石、デイビット・ウィーズナー!!!これだけでは終わりません。
最後の一枚は、写真を持って映る子供の写真、主人公と同じようにこのカメラを拾った子どもの写真のようです。
写りこんでいる写真を拡大していくと、どんどん時代をさかのぼって、最初の持ち主の男の子までたどり着きます。
文字のない絵本ですが、読み聞かせしました。絵を見ながら、時代をさかのぼっていく写真の旅に
『時代を超えた記念撮影』だね、と説明すると海底の写真に興味深げだった子どもたちが、
『実際にできるかも』と目を輝かせて、『自分だったら・・・』と次の展開に思いをはせているのがわかりました。
読み終わった後に「海辺に行ったら、このカメラ探してみてね」という私に、ほとんどの子どもたちが『うん』とうなずいてくれるほどです。
一家に一冊、子どもはもちろん大人も、自分の夢を膨らますことができると思います。
絵本を卒業したお子様にもお勧めです!!
FLOTSAMの謎
★★★★☆
ウィーズナーの描くマジカルで驚異の世界です。
子どもにもお年寄りにも喜ばれること請け合い、というばかりか、この本をプレゼントした自分こそ驚いた、という一冊でした。
意想外なたくらみが展開していって、それも画力だけで見せていくのはスゴイの一言!
値段は張りますが、オールカラーで大判なんでじゅうぶん満足させてくれる。こういうちょっとした頓知で衝撃を与えるのは、アメリカ人の凄みを感じる。児童文学系のものでしばしば感じさせられること。
カメラが海の中を旅をする・・・
★★★★★
誰も訪れたことがない深海・・・もしかしたら海の底にはこんな生物がいるかもしれない・・・
そんな不思議な感覚を味あわせてくれるのがこの本です。
この言葉のない絵本なだけに想像力をかきたてます。
もしかしたら今度はあなたがこのカメラを拾う番かも・・・
幸せがみなぎる大人の絵本
★★★★☆
海辺で見つけたカメラから、ある大きな物語が描かれてつむがれていきます。
説明台詞ぬきでシンプルな意味内容を伝えていくのはもちろん見事ですが、途中途中の絵の細部にはセンスオブワンダーがあふれかえっているのも驚きにみちています。
結末というかオチに着地していくさまを読み手はああなるほど〜と眺めながらも、また時をへだててそのページを繰りたくなる、そんな大人のための絵本です。
まさに物語とは、人びとが共時的に集まってせめぎあったりしなくても、じゅうぶんに成立するということを証明していくれていると思いました。このスーリーが着地してふたたび離陸いく醍醐味をお子さんだけでなく、おばあちゃんなど高齢者の方ともともにあじわっていただきたいものです。