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鉄コン筋クリート (2) (Big spirits comics special)

価格: ¥866
カテゴリ: コミック
ブランド: 小学館
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シロとクロ、突き抜けて青い空と海。 ★★★★★
松本大洋の画く世界は美しい。それはもう圧倒的に。
詩であり、文学や哲学であり、人間のありとあらゆる要素が詰まっている。

シロとクロの【ネコ】と呼ばれてる2人の子どもは空を飛ぶ。彼らの視線の下には宝町。
そこではヤクザのネズミや木村、それを追いかける警察の藤村や沢田、
そして町を乗っ取ろうと何処からかやって来た蛇、それぞれの思惑が蠢いている。

呼吸する街の、あちらこちら。余白に書きつけられたラクガキが、
この宝町に生きる言葉足らずな人達の呟きのような残響の効果を出している。
この、口にされる事のなかった声を聞き取り、街に漂う気配を見抜き、
画く事が出来る松本大洋は本当に凄い作家だと思う。

更に、傍目には時の流れに逆らい成長する事を拒否したかのようなシロ
(まるで映画ブリキの太鼓のように)が時計を両腕に巻き付けたりしているのも印象的だった。

24時間の記録時間ではなく、自分用の記憶時間とでも呼べるもので暮らし、
性急に変わり続ける街の事情から相棒クロを守ってたんだなぁ、と。

最後、底抜けに明るい笑顔の2人が、こっちを見ている。カッコいい!
なんにでも白黒つけて、単純に二分するんじゃなくて、
シロもクロも花も鳥も魚も、この空と海の青の中に生きている。愛ある世界に。
物語の展開 ★★★★★
この2巻から本格的に物語が転がり始めます。宝町を支配しようとする
蛇とそれに従う殺し屋の三人が登場し、シロとクロを襲ってきます。
殺し屋のナンバー3龍との闘いをキッカケにシロが傷を負い、そして、
シロに異変が起き始め、「白と黒」のバランスが失われていきます。
「シロの中に眠るもの」と「クロの中に眠るもの」が少しずつ姿を現して
いき、2巻の最後でクロは決断を迫られます。
クロが下した決断とは?

というのが、2巻のおおまかな筋です。1巻のレビューにも書いた通り、
この2巻にもモチロン松本大洋さんの「コトバの力」が炸裂しています。
1巻のレビューと同じようにいくつか引用してみたいと思います。

「お風呂入る時キズんとこ押さえて入ると痛くないの、あんまし。知ってた?」――シロ
「俺は誰も信用しないし、裏切られる事もない。俺は傷なんかつかない」――クロ
「物事の変化に対して否定的になるのは……やはり、年のせいかね?」――鈴木(ネズミ)
「醜態ですね」――蛇
「あの子はお前が考えてるよりずっと強い。そして、お前さんは自分で思っとる程たくましくはないぞ」――じっちゃ

これだけではありません。この他にもたくさんの「コトバたち」が散りばめられています。
どれも愛しく、素晴らしい「コトバたち」です。
そして、これらの「コトバ」がどういうシーンでそういう風に発せられたものなのか
というのもポイントです。

松本大洋、スゴすぎる。
感じるものがある ★★★★★
物語の中に、暖かいキャラクターたちの意思があり、読み手にその解釈を大きく任せている良作。
一回読んで、本棚にしまい、一ヵ月後に読んでみるとまた印象は変わる。
ひとつのメッセージではなく、ごうごうと渦巻く作者の感情の深さと、単純に「おもしれー」的感覚を味わえることうけあい。
映画の前に読んでおいても損はないですよ