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魔法の庭 (ちくま文庫)

価格: ¥756
カテゴリ: 文庫
ブランド: 筑摩書房
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万華鏡のような「世界」 ★★★★☆
 子供たち、猟師やパルチザン、泥棒といった人物達の目から見た「世界」を描いた短編集。海で遊ぶ少年達を描いた「蟹だらけの船」のキラキラした光、戦争中に夜道を歩く青年の心象風景(「小道の恐怖」)、盗みに入ったケーキ屋で摘み食いに夢中になってしまった泥棒達の飢え(「菓子泥棒」)などを通し、様々な「世界」が万華鏡のように描かれる。

 幻想文学かと思って読んだら全く違ったというレビューがあったが、僕らの生きる「世界」が万華鏡のように多彩なのだということを眩暈と一緒に思い出させてくれるこの短編集が、どうして「魔法」という単語をタイトルにつけてはいけないのか僕には分からない。(僕らが生きていること自体が「魔法」なのだよ。)そして、この作者の凄いところは、この目くるめく各作品の「世界」に第二次大戦の影が共通して感じられるところだろう。幻想的世界と戦争という現実を結晶させたマジック・リアリスムの一冊。
勘違いしそうな題名 ★☆☆☆☆
「魔法の庭」という題名にひかれて、幻想小説かと思って購入してしまった。
だが、残念なことに、この本は純文学的な少年少女の群像劇である。
幻想的な要素は少しもない。
子供のころに読みたかった! ★★★★★
どの短編のプロットにも様々な趣向が凝らされている。
蟹だらけの難破船、蛸、パルチザンの兵士や深いプール。
死を連想させるオブジェを取り込んで、読むものを不安にさせながら、
それでいて明るい。
現実と幻想の間で絶妙のバランスを取り、
読む者の想像力を刺激してくる秀作ぞろい。

イタロ・カルヴィーノを知ったのは最近で、
中学生くらいのころに出会いたかった。
文学少年・少女は是非読んでおくべきだと思う。

和田忠彦氏の解説もすばらしい。
文章の魔術師 ★★★★★
 カルヴィーノの言葉遣いはまさに魔法だ。なぜこんなに生き生きと場面を伝えることができるのか。「蟹だらけの船」の少年のいかにも少年らしい驚きや有頂天さはとても懐かしい。そうかと思うと「不実の村」では実に落ち着かない不安感が出ているし、「菓子泥棒」では誰もが生理的に持っている(誰もが理解できる)欲求の一つである食欲をめぐる心の機微を上手にコミカルに描き出している。これらのテクニックは全て一流で多彩だ。