北のはずれの、だいば山ののどかさと、ふきと大男の大太郎の素朴さだけでも、読む人の心は満足する。
そこへ、自慢のおとうが青おにに投げ飛ばされ血を吐いて死んでしまうという、子どもが読むにはあまりにショッキングな事件。でも、かたきを打とうというふきの気持ちと、そのために雪の中を汗をかきながら走り回る大太郎の気持ちは、小さな子どもにもひしひしと伝わるらしい。
既におかあは病気で死んでおり、最後にはふきもみんな死んでしまうというのは、残酷すぎるか。
なぐさめは、物語の象徴となる黄色いフキノトウの花。
悲しいお話しだが、大人も忘れられなくなる知られざる名作。
恵まれた時代、生き方が見えない子どもたちに、人間のたくましさと強さを知らせ、勇気づけるものと確信します。