岩波の『ぴっち』とは訳者さんが違うので、微妙に名前が違っているところもありますが、リゼッテおばあちゃんの家と庭は、やっぱり、おばあちゃんを大好きな動物たちでいっぱい。ねこはまだ、ピッチの親になるマウリとルリの夫婦だけ。七十六歳の誕生日の日、おばあちゃんは町へ出かけますが、留守のあいだに、動物たちは知恵を出し合ってサプライズ・パーティの用意をします…… 。
　台所にあるこまごましたものや、動物たちの様子、長―いパーティのテーブルなど、懐かしいようなタッチで田舎の暮らしが書きこまれていて、なごめます。それに悪者が出てこない、ほのぼのしたお話なので、安心して読み聞かせることもできます。最後にちょっぴりぴっちが登場して、思わず拍手。大人としては、こんなに愛されるおばあちゃんになりたいなあ、と思わされました。

幼い頃に読んだ数少ない絵本。リゼッテおばあちゃんと暮らしているたくさんの動物たちが、感謝の気持ちをこめて、おばあちゃんのおたんじょうびのお祝を準備します。ケーキを焼いたり、お花をかざったり。そして、何よりも素晴らしい贈り物も用意して・・・。

フィッシャーの描く絵は、アニメのキャラクターのようなはっきりした線や色とはまったく異なり、一見すると落書きのような感じもします。でも、見れば見るほど引き込まれ、飽きずに何度も眺め、また物語も読み返してしまうのです。

２歳半の娘には早すぎるかもしれません。でも読んで聞かせました。その後も時々、読んでと言ってきます。内容をよく理解しているとは思えませんが、でもいい絵本は、きちんと娘の目と心にちゃんと届いているのでしょう。

「こねこのぴっち」の前作になります。いつも自分たちをかわいがってくれる”リゼッテおばあちゃん”の誕生日をみんなが心を込めてお祝いするのです。ハンス･フィッシャーのイラストのタッチと色がとてもきれいで、おおつか　ゆうぞうさんの訳がやさしく心に響きます。子供がとても気に入って何度も何度も声に出して読み返し、ついに暗唱するまでになりました。