死をうけいれるとは
★★★★☆
このお話は小学一年の国語の教科書に載っています。
上の子が習って読んだときにはなんという辛気臭い話かと思いました。ゆきだるまではなくて、花のゆきだるまに会えたって、、、それってうれしいの?悲しいの?・・・はっきりせんかい!という感じで。どう受け止めてよいのかわかりませんでした。
下の子が小一になり、あーまたあの話か、と思いつつ付き合っていると、わかってきました。
ゆきだるまにとって春とは、死期なのです。それを知らずに「はるって、すてきなんだよ」などという動物の子どもたちも能天気ですが、その動物の子どもたちが雪だるまに会えない=死に出会う物語なのです。
もう会えないけれども、心の中には残っている。動物の子どもたちはそんな形でゆきだるまの死を受け入れます。
他社の小1教科書の「ずーっとずっとだいすきだよ」は愛犬の死を扱っています(ストレートに泣けます)。一方、この物語は「死」という言葉を使わずに、やはり死との出会いを描いている物語なのでした。死というものを考え、いつか来る誰かとの別れの心の準備をする・・七歳というのはそういうことができるようになる年齢なのかもしれません。
春にあこがれている雪だるま、ちょっとせつない
★★★★★
山の中にひっそりとたっている雪だるま。まだ森は冬です。でも森の動物たちは目をさまして、山のふもとに春をさがしにおりてゆきました。雪だるまさんに「春って、 すてきなんだよ」っていいながら。春にあこがれている雪だるま、ちょっとせつない。1983年3月発行
切な過ぎる・・・
★★★★★
「ゆきだるまさん、春に会えてよかったね」
娘に読み聞かせした感想がこれでした。
子供はちゃんとゆきだるまが春と巡り会えたことを理解できていました。
動物たちとの「春のおみやげをもってくるよ」との約束。
でも、行ってみると春で暖かくなりゆきだるまは溶けている・・・その時の動物達の思い。
この物語は純粋さだけではなく、「約束」の大切さも説いています。
切な過ぎる最後ではありますが、子供はこの物語を読んで「大切な何か」をちゃんと知る事が出来ると思います。
自然の美しさ
★★★★★
山の中に 村の子供たちが作った雪だるまがポツン、と一人で立っていると、動物達が春を探しに山頂からふもとへと降りていきます。「春」をしらない雪だるまは 動物達から「春」のすばらしさを聞いて 自分も見てみたいなぁ、と春を心待ちにしています。動物達は雪だるまに 春のお土産を持ってくるね!と約束するのですが、暖かくなると 雪だるまは当然、、、。しかし話しは 未だ続き、ちょっと悲しいけど素敵な終わりへと向かいます。大人になってしまった今、動物達が雪だるまに「春のお土産を持ってくるね!」と言った時点で「なぁに言ってんの!」と思ってしまうのですが、動けない雪だるまに春を教えてあげたい、と素直に願う動物達の姿に、自分が失った無邪気さを見たような気がします。我が子に!は この素直さ、無邪気さを ずっと失わずに持っていて欲しいな、と思わされる作品です。