龍之介、直次郎兄弟、そして初プロデュースを務めた斉藤和義を含めた、平川地一丁目の音楽に出会えたことを素直に幸運だと思える。彼らが若さに似合わず70年代フォークからの影響を大きく受けていることも、ただただ自分がグッとくるメロディだからだ。そしてこのアルバムの斉藤との作業では、何でもアリの自由な録音が功を奏した。音楽活動はもちろん、学校生活、家の手伝いなど、なんてことない日々の豊かさが自然と伝わってくる13曲。夕飯を一人で食べている子どもたち、その親たちに心底聴いて欲しいと思った。
記念すべきデビュー曲「とうきょう」、直次郎の声変わり後の急速な表現力と龍之介のメロディメーカーぶりがうかがえる「君の分まで」をはじめ、奇跡的な、ありのままの音楽がある。(石角友香)