その微細な線で描かれる恐ろしくもまた、奇妙な世界は、うつくしい。
そのなかの本の一冊、『まったき動物園』のなかには
架空の生き物が描かれ、短歌形式の訳文が付いている。
それだけでも十分に楽しい。
のだが
ぱたんと本を閉じた後、気が付くのだ。
この本の中にみた「この世界にいてはいけないものたち」の存在をいま
知ってしまった事を。
うつくしく異形な者たちの動物園。
世界との違和をここまで表している本もそうそうはない。
世界とのひずみに引き込まれてゆくような力を感じ
果たして、この目に見える世界だけがすべてなのだろうかと
思わされる作品だった。
この作品に出会えたことを、とても感謝している。
(読後感、なんともいえないざらつきが残るけどね)