「金魚繚乱」「生々流転」などの作品を残し、流麗な文体で知られる作家であり、歌人でもあった岡本かの子。漫画家岡本一平の妻であり、芸術家岡本太郎の母であった彼女は、仏教研究家でもあった。本書は、そんな彼女の現代感覚があふれ、簡潔かつ驚くほどわかりやすい仏教講義から「修証義」「碧巖録（碧巖集）」「無門関」「景徳伝灯録」の四篇を収録。科学や精神分析の知識まで活用したその解説は、現代人が禅の考え方を知るための恰好の入門書である。旧漢字・旧仮名遣いを、新漢字・新仮名遣いに改め、引用された漢文は読み下すなど、若い人にも読みやすく編集した。