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聞き屋与平 江戸夜咄草 (集英社文庫)

価格: ¥600
カテゴリ: 文庫
ブランド: 集英社
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集英社ナツイチ2010じ〜んとしたい部門に選出されてました ★★★★☆
江戸の町を舞台に苦心を重ね受け継いだ薬種屋を大きくして今は隠居となった与平の始めた”聞き屋”。ただ話を聞くだけという与平に様々な人が己の抱えている思いや悩みを打ち明ける、という形で連作物となっており様々な江戸人情物が楽しめるだけでなく、家族にも恵まれ諸事問題無しにみえる与平がなぜ”聞き屋”をやっているのか?という謎が物語の根底にあり、話が進むにつれ徐々に与平自身が抱える過去の出来事が明らかになっていく。というストーリーで一気に最後まで読まずにはいられない面白さがあり良かったです。

日常的な市井を扱う時代小説が好きな方なら誰もが楽しめる一冊だと思います。
ほっと一息つきたい時、眠りにつく前の安らぎの時に読みたくなる一冊。 ★★★★☆
宇江佐作品は『卵のふわふわ』に次いで2冊目ではありますが、どちらも、楽しくあっと言う間に読めてしまい、それでいて最後には人間の人生をさりげなく考えさせる本でした。主人公は苦労を重ねて商いにもそこそこ成功したご隠居で暖かい家族に囲まれています。読者の多くが求めているであろう、ほのぼのとして活気のある江戸市井の人々の暮らしぶりもあちこちにちりばめられているので、読み物としてとても楽しめます。それでいて、狡猾で俗物の岡っ引きが与平の周りに見え隠れしてスリルもちゃんと用意されているのです。全体がほとんど与平の目線で書かれていますが、6編のオムニバス形式になっているので、忙しい生活の中に持ち込めば、ほっとした優しい一時を持てるかも知れません。(私は家事の隙間時間によく読んでいたので、台所の片隅にいつも置いてました。)聞き屋与平を通して私たち読者も、美醜様々な人間の生き様に立ち会う事になり、その設定がこの物語に色濃く漂うほのぼの感と上手く調和しているように思います。
★★★★★
「昨日と同じ夜が今日も続く。だが昨夜と今夜は確実に何かが違う。」このことばが胸の奥底まで落ちるとわかることがあるでしょう。

わたしも学生時分、この聞き屋に似たことをやっていたことがあります。

カウンセリング、セツルメント、口承文学の追求、伝承の蒐集、等々、まずヒトの話を聴けない者は世間が狭いのでしょう。
客の胸のうちを聞く「聞き屋」が心に秘めた秘密とは ★★★★☆
 「小説すばる」に6回にわたって連載した連作小説です。

 時は江戸時代。明暦の大火からしばらく経ったころ。
 所は江戸一番の盛り場、両国広小路。
 仁寿堂という薬種屋のご隠居が、五日に一度、店を閉めたあと机と腰掛けを表通りに持ち出します。
 机にかぶせた覆いの垂れのことろに、「お話、聞きます」と書いてある。辻占いでなく、単に話しを聞くだけの「聞き屋」というちょっと変わった商売をはじめるところです。

 ただ話を聞く。
 お代も客の志しだい。
 何か胸につっかえのある者が男の前に座り、ある客はポツリポツリと、ある客は一気に吐き出すように話をはじめます。

 男の名前は与平。
 父親が立て直した薬屋を、自分の代で更に大店(おおだな)に発展させ、3人の息子に店をまかせたあと悠々自適の楽隠居……と世間の評判です。
 しかし、与平には、墓場まで持って行かなければならない秘密があります。鯰の長兵衛という岡っ引きが、与平が何事か隠していることを確信していて、聞き屋をしている与平の前に現れては、客の支払いの一部を巻き上げて帰っていきます。
 何でも金目当てでものを考える長兵衛に、いい加減、与平はうんざりです。

体の不調を覚えた与平は、残された時間が短いことを覚ります。
  もっと話を聞かなければならない。もっと。
  冥土の土産にするには、まだまだ足りない。

 そんな与平の前に、他家に嫁いで無縁となっているはずの先々代の店主の女房が現れて、物語は展開をはじめます。

 先々代の女房が鯰の長兵衛に話した疑念とは……。

 本書には、制約の多い封建社会を舞台に、それでも一生懸命生きた庶民が描かれており、山本周五郎の庶民物の雰囲気が漂っていました。
 著者の宇江佐氏は山本周五郎の衣鉢を継ぐ作者の一人かもしれません。
あなたの話を聞きます ★★★★☆
「聞き屋」とは、辻占のように通りに机と椅子を置き、訪れる
人の話をただ聞いてあげる商い。お代はお志で結構。こんな暇
な商売が成り立つのは、大店の主人の隠居後の趣味で始めたこと
だから…。そんな前置きから始まる、ちょっと不思議な雰囲気
の連作時代小説。
誰かに話を聞いて欲しい人はいつの時代にもいるもの。
持ち込まれるのは理不尽な話、いい話、奇妙な話など様々。まるで教会
の懺悔部屋のような趣。語られるお話自体も興味深いのだが、主人公
の与平自身が隠し持つ過去の心の闇の存在がお話に緊張感を持たせ
ている。
宇江佐作品にしては登場人物がいい人ばかりではなく、暗さも
あるところが珍しい。