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フランスに学ぶ国家ブランド (朝日新書)

価格: ¥777
カテゴリ: 新書
ブランド: 朝日新聞出版
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分析が皮相的 ★★★☆☆
文章は読みやすい。ただし、フランスの国家戦略の紹介として紹介されている、イラク攻撃に際してのアメリカとの確執、原子力発電を中心にすえたエネルギー戦略、食料安全保障、少子化対策等のほとんどは新聞で読んだことがあるものである。これらが具体的なデータを交えたフランスの政策の分析であればそれなりに読み応えがあるだろうが、新聞記事以上に深い分析はない。読後に一番印象に残ったのは、著者のフランス大使時代や外務省勤務時のフランス要人との交流についての話であった。
意外な共通点 ★★★★☆
ちょっとタイトルが悪いな。国家ブランドは前半の国家戦略(というかフランス式価値観)のごく一部。その後はフランスの現状と課題に重ね合わせる形で、日本の実情が紹介される。

簡潔ながらよくまとまっていて、論点がよくわかる。特に社会民主主義の根強いフランスの抱える課題は、わが国と瓜二つ。同じ時代に小泉、サルコジという二大改革者が登場したのは、けして偶然ではない。

フランス国民はサルコジを選び、苦しみつつも一歩ずつ前進している。さて、日本人はどうだろう?
日本をもっと良い国にするために ★★★★★
この本を読んで長年の疑問に答えが出た。なぜフランスは、移民問題はあるし、ストは多いし、いいかげんな人も多いし、おしゃれに程遠い人も多いし、道には犬の糞が落ちてるのに、あんなにおしゃれなイメージが高いんだろうか。アメリカもイメージは高いが、フランスほどおしゃれなイメージはない。フランスは政治的なアピールも得意だし、文化の発信にも力をいれ(お金をかけ)、景観を美しく保ち、観光客を世界中から呼び寄せる。
著者は、日本もフランスに負けないくらいいいものを一杯もっているのに、ブランド発信力が劣るばかりに、国際的なイメージが高まらない理由を解き明かしてくれる。
もっと日本という国のイメージが高まることで、日本人の失ってしまった日本人としての自信がよみがえり、もっと前向きな気持ちになった国民によって、日本がもっと良い国、未来に希望がもてる国になることを切望する。
最終章では国の劣化を防ぐために、フランスから何を学べるか、少子化対策などを例にとり説明してくれる。少子化対策については、私も常々フランスの政策はすばらしいと思っていた。日本もぜひ見習って、子供が何人いても女性が安心して働きに出れる社会にならないと、今の日本社会の抱える問題は決して解決されないどころか、どんどん悪い方向にいくのでは、と危惧している。
大中小企業のトップ、政治家全員にこの本を読んでもらって、勉強してもらいたいものだ。
フランスから見たこの国のかたちとは。 ★★★★☆
海外で数々の重要ポストを歴任してきた著者が日本のあるべき姿に提言しているものです。
駐仏日本大使としてフランスを間近にみてきた著者が発する言葉に経験知からくる強い説得力があり、非常に重く感じられました。
フランスはエレガントなファッションに料理、建築といった衣食住に長け、いずれも世界的なブランドと地位を有し、センスを大切にする国です。
そういったところには、世間一般に知名度がありますが、残念なことに行政面において周知しているところは少ないように思います。
世間ではマスメディアによりアメリカとの関係や近隣諸国との関係がみえてきていますが、ヨーロッパ諸国となると観光名所以外は政治的な情報はプアーだといっても過言ではありません。
ところが、日本とフランスは文化を共有するところがあり、行政面でも悩むところに類似点があるとのことです。
本書を読んで、日本とフランスの接点がようやく見えてきました。
本書では、周囲を気にしながら、おどおどした様子見で外交関係を築き上げるのではなく、もっと強い意志と勇気、信念を持って、だめなものはだめとはっきりとNoと言える国、理念を提言しどうどうと世界を見渡せるリーダシップを発揮する国になりなさいと言っているのだと思います。
国家「フランス」の奥の院を描く ★★★★☆
フランスの国家規模は決して大きくないが、強い発信力で国際社会で大きな位置を占める。著者はそうした国力を「国家ブランド」と呼ぶ。駐仏大使としてシラクやサルコジとも個人的関係を築いた著者は、本書でフランス政界、学界トップなどフランス奥の院との対話などから、その強さの秘密を解き明かす。

本書の主眼は、国家フランスの魅力を探るもので、著者の回顧ではない。しかし、著者と対話したフランス高官の生の声を豊富に伝えられていることは本書の得がたい価値だ。著者は大使在任中、サルコジ、シラク、ジスカールデスタンといった大統領経験者のほか、有力閣僚、フランス学士院長と面会したうち、いくつかを明らかにした。特にイラク戦争開戦一月前、シラク大統領とサシで夕食会をした話は緊迫感がある。本書によるとシラクは開戦後の展望をほぼ正確に言い当てている。フランスとシラクの優れた情報収集力、分析力の一端を知った気がした。まさにその日は、フランスがアメリカの開戦にノンを突きつけ、アメリカとの溝がはっきりした日だ。このような微妙な時期にシラクが日本大使館を訪問したわけを、著者は「親日家の大統領が招待に応じた」としているが、言外に著者ら日本外務省を通じアメリカに伝わることを予期して著者にメッセージを託したことを示唆する。このほかにも、親日家シラクの隠れたエピソードが本書でもたくさん紹介されているが、著者は、親日のシラクで日仏関係は最良な中、あえて次を見越して、シラクと険悪ながら次期大統領を狙うサルコジの側近に接近し、パイプを作ったという。本書を読んで実感したが、大使は、任地の高官、有力者に接近するというのが重要な仕事なのだなと思った。

後半では、労働、移民、少子化といったフランスで焦点となっている政策を紹介している。成功したもの、失敗したもののあるが、日本にとっても参考になることが多い。著者の文化論には少し違和感を感じた。フランスは文化省を置き、文化予算を拡充させているが、アメリカに文化を所管する省庁があるとは寡聞にして聞かない。(日本語日本文化を教える機関を世界に展開する必要性はまったく否定しないが)また、完全な都市計画に基づいて作られたパリなどの町に対し、日本の計画性のない雑然とした町並みを著者は好ましからずとするが、秋葉原や新宿などごちゃごちゃしたものに良さ、先進性を見出す人も少なくない。また、浮世絵もアニメーションも元は娯楽だったものから芸術性が見出された。

顕職を歴任したキャリアからは意外だが、本書は著者にとって初の著書だという。しかし、本書は新書向けに実にこなれた文章になっていて読みやすい。かつ、前駐仏大使ということで正確性、議題設定も信頼性が高く、今のフランスに関心がある人には十分に楽しめる内容だ。