【セブン-イレブンで24時間受取りOK・送料0円!】 著者/訳者名:本多孝好/著 出版社名:集英社 発行年月:2009年10月 関連キーワード:ウイル WILL ういる WILL、 シユウエイシヤ シユウエイシヤ 3041 しゆうえいしや しゆうえいしや 3041、 シユウエイシヤ シユウエイシヤ 3041 しゆうえいしや しゆうえいしや 3041 言えたはずの言葉が胸の中に積もっている。聞けたはずの言葉をいつも虚空に探している。30万人の心に沁みた『MOMENT』から7年。ほんとうに大切なものは、いつも側にあると気づいた。待望の書き下ろし小説。
7年という時間を越えて
★★★★★
店頭で見つけた瞬間レジに持っていきました。7年待ってたよ。前作の主人公は神田だったが、今回は森野と、葬儀屋の人々である。森野についてあまりはっきりした印象はなく、つかみどころが分かりづらかったのだが、森野の一人称を基本として薦められていく本書では、森野のことが分かりすぎるくらいだ。
本作では森野がどんどんこっち側の普通の人間に思えてきて、本作では大学を卒業しアメリカに行ってしまった神田がむしろ遠い存在に思えるのは、前作と視点を真っ向から変えたことで得られる感覚だろう。単純に続きのお話を、そのストーリーとしての魅力もさることながら視点を変えることで心の動きを鮮明に表現することが出来ているし、前作を読んだファンの楽しみを満たすには十分だ。前作からの7年という時間も、子どもの部分が残っていた時代から、大人として地に足を着けて歩んでいるという、たしかな成長を感じられる。大人になって変わる部分変わらない部分を堪能できるのは単純にファンとして楽しい。単純な続編というだけでなく、時間をきっちり区切っていること、語り部を変えるだけでここまで楽しめるのかと思う。むしろ別物と思って読んだ方が自然なのだな、と思えるから面白い。
大きなポイントだと思っているのは、前作は死を前提にした心の動きを書いたものであったと思うが、本作は経験した死とどう向き合うか、である。どちらも人が生きていく上で経験していくことであるし、経験から得られる心の動きもまた異なる。「爪痕」にそれが顕著だろう。人の死が招くものは、故人の遺産のようなものかもしれない。誰もが現実を受け入れられるほど、人の死という事実は重くないということなのか。取り返しのつかない事態ということもだが、何より故人の思いとは離れたところに残された人の思いがあるということだろう。
7年間という時間、遠くにある神田の存在。それらの要素もさることながら、というかそれがないと本当の意味での醍醐味はないが、森野の葬儀屋の社員である竹井と桑田の存在がいい。竹井はどっしりとした、桑田は言ってしまえば雑な存在であるが、彼らが森野を日常的に一人にさせていないのである。非日常な存在になってしまった神田、そして7年間かけて手に入れた日常。本作は森野の人生の一部を垣間見るような感覚で読むことができた。その一部が森野にとっては大切な日々なのだろうと、思いをはせつつ。タイトルの意味もなるほどね。
心から人を弔うという行為
★★★★☆
突然事故死した両親の後を継ぎ、葬儀屋を営むことになった主人公の女性。
物語は、葬儀という行為そのものよりも、葬儀を終えた後、
遺族や故人の、行き先を失った想いをどう受け止め、これからどうやって生きていくか、
ということの方に焦点がおかれている。
いくつかの故人・遺族のエピソードが紹介され、
やがてそれは、主人公の女性自身が抱える両親への想いの昇華へとつながっていく。
個人経営する葬儀屋の仕事など、思いもよらず、
でもこんなふうに故人や遺族に静かに、寄り添うように関われるとしたら
それは素敵な仕事だと思った。心から人を弔うとはこういうことなのか、と考えさせられる。
同時に、死という重いテーマを抱えながら
全体的に軽快で、読後感がさっぱりしている。
それが物足りなくもあり、またこの作品のよさでもあるのか、と思う。
未来系の人の意志、かな。
★★★★☆
最近、
いろいろ引き出しを見せている作者ですが、
これは、原点に帰るというか、
作者の魅力があふれてくる。
過去の作品とも、
リンクしている部分があったり、
初期のころから彼の作品を呼んでる人には、
すごく楽しめる作品だと思う。
葬儀屋が舞台。
人生の締めくくりを求めてやってくる人たち。
しかし、葬儀が終わってもなお、
目に見えない、言葉にできない、
別れられない人たちが、
再び葬儀屋を訪れる。
この葬儀屋。
高校時代に両親を亡くした娘がやっている。
彼女は、彼女なりに、
残されたものたちが、
故人と別れることができるように、
“葬儀屋”として、解決に乗り出す。
持ち込まれる問題が、
どれも、
オカルトチックというか、
信じがたいことばかり。
死者から届く絵、
死んだ愛人の告発、
生まれ変わり………。
しかし、それは、
生きているものたちの、
死んだ人たちへの、
ある愛の形だとも言えるのだろうか。
そして、主人公自身もまた、
煮え切れない、
心に残るしこりがあるのだった………。
“WILL”とは、
死んだ者、
残った者の意志であり、
未来形の意志なのだなぁ、と。
今より、少し元気になれる1冊ですね。
綺麗な話だった。
★★★★★
MOMENTを読んで「面白い」と思った人なら、
きっと楽しめると思います。
登場人物も魅力的でした。
やっぱ好きです。
★★★★☆
この作品についていろいろとご意見・ご感想は人それぞれあるとは思いますが、自分は好きですね。
本多孝好さんの今までの作品をひととおり読みましたが、読み終えた後、何かあたたかさが残ります。『WILL』では特にその感じが強かったように思いました。
森野の名前も素敵でした(^_^)