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5年目の魔女 (新潮文庫)

価格: ¥460
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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最後に納得 ★★★☆☆
乃南さんの文章は、読みやすい。

ただ、今回は主人公の景子に感情移入が出来なかった。
職場の友人と上司の不倫という、秘密を共有させられてしまったことで
結局は、仕事場を追われるように退職。
5年も経ってから、友人の喜世美のことが気になって…。

中盤では、中弛みを感じて
一体、何故景子はここまで喜世美を気にするのか?
そして、恐れるのか?
自分の新しい人生には、もう関係が無いのに。
それよりも、インテリア・デザイナーとして頑張ってきたのに
こんな過去のことに、いつまで囚われているのか?
読みながら、イライラするくらい ジレンマを感じた。

世間では珍しくはない、職場不倫。
そして、秘密を共有してしまうことへの嫌な感情。
喜世美のキャラにしても、そこまで毒々しさを感じられないのは
単に、私自身が強烈な個性を持つキャラが出てくる本
を読みすぎたせいかもしれない。

タイトルが意味深なので、期待しすぎたせいもある。
電話のコールも、帯についてる文句ほどはメインではない。

最後の章で、喜世美が登場するがこの展開は読めた。
結局、景子は自分を巻き込んで仕事を辞めるはめになった
喜世美の落ちた姿を見たかったのか?

・・・そう思っていたら、最後には違う展開に。

そこで、何故そこまで執拗に喜世美に囚われていたのかが理解できた。
色々文句を並べたけど、この最後の展開で腑に落ちました。
根底に近親憎悪を感じます ★★★★☆
主人公の景子は、友人である貴世美に対する嫌悪が次第に増大していく。よく考えると、景子が受けた被害は、職場で自分を陥れるような行為のために退職に追い込まれたことぐらいで、別に彼氏を寝とられた訳でもない。しかも物語の中盤には一切登場しない貴世美であるが、その影に怯えながらも居所を捜し続ける景子の姿によって、貴世美は間接的に大きな存在感として表現されている。貴世美に対する嫌悪は更に病的に肥大し、遂に貴世美とそっくりな顔立ちの貴世美の母親まで殺害するに至る。つまり、こうした無駄な殺人行為に気付かないほど、人は自らの中で増大する不安をとめられないのだ。景子は、計算高く生きる貴世美に振り回され、会社をやめる羽目にまでなって縁を切ったはずなのに、気が付くと自らの判断で彼女を捜している。これは、単なる嫌悪だけでは説明できない。不思議と追い求めてしまう理由は、貴世美に対する何らかの憧れに似た心理があったのではないだろうか。こうした景子の行動は、愛憎入り乱れた近親憎悪に似ている。「愛」に相当するものは何か。それは、貴世美も含めた周囲との漠然とした良好な関係だったのかもしれない。「憎」は貴世美やその母親、異性との付き合いがうまくできない自分自身にまで向けられたのだろう。自分でコントロールできない不安、憎悪と自らそれに操られていしまう人間の姿が描かれている。
この物語りの主人公は景子として描かれているが、性悪女として描かれている友人の貴世美の方が実の主人公だと感じた。景子や、自殺に追い込まれた貴世美の不倫相手や、その妻(景子の高校の先輩)も、悪女貴世美の掌中でただただ踊らされていただけなのだ。極端に狡猾でアクの強い貴世美と、普通の幸せを感じたい景子は、実は一人の女性の持つ性格の両面なのではないだろうかとも思う。こうした技量に☆4つ。
背中の視線 ★★★★☆
女性特有の暗く冷たい心の闇。執着心と懐疑心,強さと弱さを悲しいほどに描いている。
会社内の不倫問題で始まる前半は,乃南アサの作品としては少し期待はずれの感があったが,5年前の出来事と現在の生活を行ったり来たりする作品の構成は,徐々に謎を解いていく感があり,またいつまでも過去から逃げられない女の悲しさを表していた。そこには忘れたくても忘れられない,埋めたくても埋められない何かがあったから。その何かは最後の最後に分かることになるけど。
終わったはずの恐怖は,新たに始まる恐ろしい運命のスタートに過ぎなかった。最後まで読み終えて,やっとこの作品の中心,そして乃南アサにたどり着いた気がした。
知ってしまうこと,知ったことを話せないこと,誰も知らないと思ってたこと,誰かが知ってたらと思うこと。心理的に追い込んで行く作品。
短い作品だから長編のような読破感はないけど,短い中にポンと恐怖が描かれている。
最後までのお楽しみ! ★★★★☆
 読み始め、乃南作品らしくないと思いました。上司と同僚の不倫のために会社をやめることになったOL景子。その後、上司は死亡し、元同僚も音信不通。でもなぜか、元同僚に見張られている気がずっとしている。ある日、大きな仕事のチャンスがあり、その家に出向くとなんとその元同僚がその家の奥様になっていた・・・と。そのまではなんとなくよくありそうな小説で全然乃南作品という感じがしない。ところが最後の最後に景子がなぜそのように見張られていたかが解明。怖いですよ。女の執念というのか女の戦いが。
 ただ、乃南作品の中では、「凍える牙」や「涙」の方が作品としては上だと思いました。
心の闇 ★★★★☆
景子の親友である貴世美と上司の新田とが不倫することから、物語は始まります。
貴世美には魔性の女で、何か不思議な力をもった女性。
そのためか、新田は離婚後悲惨な事故で亡くなり、景子も会社をやめざるを得なくなります。
それから5年、景子はインテリアデザイナーとして働きながら、貴世美の消息を調べ始めます。その頃から3回鳴って切れる不気味な電話がくるようになります。この電話の正体は…。
女性の持つ深い闇を暴く長編サスペンス。
どこか恐ろしくて、その闇に引き込まれて一気に読めました。貴世美をみていると、女ってここまで我儘で奔放になれるんだなぁと、ぞっとします。