デイジー・マイナーは、退屈していた。さらに悪いことに、彼女は魅力のない女性だった。小さな町の平凡な図書館司書であるデイジーは、もう何年もの間、デートに誘われたことがない。軽い恋愛の経験もなければ、欲望に身をまかせたこともなかった。そんな彼女が、34歳の誕生日を迎えて一大決心をする。未亡人の母親とハイミスの叔母と暮らしている自分の人生に疑問をもち、すべてにおいて、(セックスについてももちろんのこと)、充実した生活を送ろうと心に誓う。
世間知らずの純情娘が突然バッドガールになるなんてこと、あり得る? まさか。でも、バッドガールのふりをしてみるのも悪くないのでは…。
メイクを変え、新しいファッションに身を包み、彼女は見事に変身をとげた。髪の毛を肩にふわりとたらし、クラブで踊り、初めて会う男に話しかけ、ほほえんだ。新しいアパートを手に入れ、新しい人生を手に入れた。そして、それは恋人探しの幕開けだった。
ところがある晩、デイジーは見てはいけないものを目にしてしまう。その瞬間から、彼女は殺人鬼に狙われる身となり、恋人探しを中断しなければならなくなった。しかし、求めることをやめた瞬間に、求めていたものが手に入ることもある…。
心が締めつけられるほどのロマンスと、息もつけぬほどのサスペンスを書かせれば、リンダ・ハワードの右に出る者はいない。本書によって、彼女はあらためて一流のストーリー・テラーであることを世間に知らしめた。スタイリッシュで刺激的な文体は、読者を物語の中にぐいぐいと引き込み、時間のたつことを忘れさせることだろう。