個人的には悪くなかった
★★★☆☆
広げすぎた大風呂敷を一向に畳む気配のないままですが、個人的にはそれなりに楽しめました。
作者は茶州編が終わってから、文章が変わってきたように思います(良いことか悪いことかは別として)。
別の本のレビューで他の方も書いてましたが、地の文でキャラクターを褒めすぎなのがいつも気になっていました。
誰それが能吏だとか、この人が優秀だとか、そんな文章ばかりで、読んでいて萎えます。
キャラクターを作るのは下手ではないのに、文章力がなさすぎて、人物の魅力をうまく物語に織り交ぜることができない。
「〜〜なひと。」という甘ったるい文章も多いですね。これまた最近は減りましたが。
「所詮ラノベ」という評価があるのもうなずけてしまいます。
でも、最近はそれが減ってきているので、だいぶ読みやすくなりました。
巻頭の劉輝の人物紹介の文章も「昏君だったが今は賢君に」から「賢君になるため努力中」に変わりましたしね。
最初は「そんな簡単に賢君になれんの?」と思ってたので、これは良かったんじゃないでしょうか。
美形だらけのこの物語で、お気に入りはタンタンです。この物語の中では「普通」で、好感が持てます。
タンタンといる時の秀麗が一番好きかもしれません。
ただ、タンタンの代わり?としてまた出てきた燕青。ちょっとガッカリの記述がありました。
結局、秀麗をそういう目で見ていたってことですね。燕青というキャラを貶めるだけの設定としか思えません。
一生表には出さないだろうという記述をするのであれば、そんな設定をしなければ良い。
結局どこかで言わすつもりじゃないの??と思ってしまう。
「もしかしたら・・・」と読者にある意味期待させたいのであれば、行間で読ませて欲しい。
と批判をしつつも、毎作読んでいますので、もっと良くなっていって欲しいという想いはあるのですが・・。
分からない
★★☆☆☆
主人公はなぜ王様のプロポーズを受けないの?
その理由がはっきりしない。
ふさわしくないからなのか、官吏としてがんばりたいからなのか。
確か、最初は官吏として王様を助けたい、というような感じでしたが最近はふさわしくない、という感じですよね。しかも、自分の体のことがあるから。
意味が分かりません。
無表情にギャグをとばす葵長官が最高!
★★★★★
葵長官、本当にいい味出してますね。本編とは全然関係ない所で、ものすごく楽しませてもらいました。愛?平和??しかも即答!いったいどの口から、そんな言葉が。秀麗はトンチ作戦に出てるし、二人が大真面目に繰り広げるコントがツボです。おまけに、無表情に合わせて無口かと思いきや、意外によくしゃべる。前作の晏樹評には、開いた口がふさがりませんでした。
悪役ムード満点で秀麗の前に登場した皇毅ですが、別に秀麗をいじめてるわけじゃないんですよね。なんだかんだ言って、9割強クビの飛んでいた秀麗を拾ってくれた人ですし。ただ、女性差別をしない代わりに、女性擁護もしないだけで。割と「女性には優しく」キャラが目立つので冷たく見えますけれど。晏樹もきれいで素敵だけど、やっぱり葵長官がいいですね。晏樹は、どこか茶家の若様に似てますね。秀麗はあのふわふわタイプに弱いんでしょうか。
皇毅のことばかり書いてきましたが、本編はシリアスに藍家と楸瑛メインのお話です。
軽い読み物が読みたい方にはお勧めできない。
★★★★★
キャラが立っているからか、はたまた読み慣れてきたからか、登場人物の顔と名前が一致しないってこともなく読めました。誰だか分んなくなるという人はもう少しゆっくり読んだ方がいいかも。読み慣れてくれば全然気になりませんよ。
ここ最近一気に面白くなってきた彩雲国物語。
ほんと、飽きさせない展開ですね。
それぞれのキャラクターの内面にもグッと迫っていて、人間ドラマになりつつあるなぁと感心します。
軽く読めて楽しいだけのライトノベルからは少し成長しているようです。今までのノリを期待していると厳しく追い出されそうです。
反王家派の面々も悪い人には見えないなぁ。確かに王は頼りないですし。血筋だけに頼った王では国を治められない気がする。
御史台長官、理想の上司っぽいです。決して甘やかしはしないので怖いけれど、部下をどんどん育ててくれそう。ときどきお茶目な発言なんかもしてまじめ一辺倒でもなさそうだし。なかなか魅力的ですね。
ここまでくると、諸外国との関係が気になってきますね。まさか彩雲国だけってことはないでしょうし。他の国との外交とかもやってるのかな。外国があれば戦争にもなるし、もっともっと面白くなると思うんですが。今の彩雲国にはそれだけのものを要求してもよさそうです。
ただ、彩七家(だっけ?)と王家との関係がいまいちよく理解できない。地方豪族っぽいといえばそうだけど、それにしては力を持ちすぎているし。どうやって統治してるのかいまひとつ分からないなぁ。
これまでの事件はいつも内輪もめだったという認識をしてます。陰謀渦巻く朝廷ってのもわくわくものだけど、外国との云々というのもあったら嬉しい。政治は一国だけのものじゃないでしょうからね。
相変わらず、秀麗の体は謎めいてます。何かあるんでしょうが、まだはっきりとは分からない。恋愛面でも彼女の成長面でも、どんな結果がついても納得できそうな気がします。今の彩雲国物語ならどういう結末がついても面白いと思う。
やや頭を使って、じっくりと読めるライトノベルはなかなかないので、お気に入りのシリーズになりました。
読み捨てライトノベルをお望みなら、彩雲国物語はやめておいた方がいいでしょう。
ほかならぬ物語自体が変化しているのだから、それを受け取る読者にだって新しい姿勢が必要です。
既刊の中では、一番面白かった
★★★★☆
いい年して娘の本の横読みから嵌ったシリーズでしたけれど、最初レビューを読んで、買うのを止めようと思ったんです。
でも買って良かった。
1部は本当に少女小説そのままで、子供じみた話言葉についていけない部分も多々ありましたが、言葉の稚拙さは、1部よりよくなっているように思います。
彩雲国の様子が、少女達の夢の国から少し大人の国に変わったようで、だから読んでいて違和感が以前より少なくなりました。
年齢に併せた成長を否定するのであれば、ドラエモンの世界で書き続けていくか、物語を終結させるかしかありません。
登場人物の多さは、主人公達の成長の証ですね。苦悩があっていいんじゃないですか。楸瑛の苦悩と龍蓮、ついでにタンタン君良かったですよ。
世界が広がったと思いますし、初めから彩七家とあった訳ですから、七家のお家事情も知りたいじゃないですか。
併せて八仙も知りたい(現在5人ですよね)
謎の人物が多くて、謎解きが楽しみです。
是非外伝の「隣の百合は白」を先に読むことをお勧めします。
2冊同時に買って、先に外伝を読んでしまったのですが、邵可の謎が解けて物語が分かりやすくなりました。