以前は身近に感じることはなかったUNIXだが、最近ではLinuxやFreeBSDのおかげでPCやMacでも使えるようになった。『A Quarter Century of UNIX』の翻訳版である本書は、UNIX誕生の歴史を、開発者たちの証言と共に解き明かすUNIXハッカーの証言集である。 いま最も普及しているインターネットはUNIXがベースになっているが、本書を読むと何がそのアイデアのベースになっているのかが理解できる。また、いまでは当たり前のように使われている機能は、UNIXハッカーたちの天才的な発想や技術によって作られたこともわかる。本書を読んでいると、今日のUNIXはかなり長い時間をかけて作られてきたものと錯覚してしまうが、実際は30年間ほどの間のできごとである。技術の進歩の速さを感じる。 UNIXはもともとミニコンピュータやワークステーションで運用されていたため、本書の証言に登場する言語、マシン、システム、企業名は、一般のPCユーザーにはあまりなじみがない。一般ユーザーが本書を深く理解するためには別の資料を参照する必要があるだろう。 本書はUNIXハッカーが作り上げた文化を知る上では貴重な資料となる。UNIXハッカーを自負する人には、ぜひ一読していただきたい。(西王地清訓)
Ken Thompson, Dennis Ritchie, Bill Joyなど超有名人ばかりではなく、定番Unixツールを開発しながらも国内ではあまり知られていない人々も数多くあげられています。1980年代からUnixに関わってきましたが、知らずにいたことの多いことをあらためて認識し、楽しみながら完読できました。
文学書とか、物語を期待しておられれば別ですが、ごく普通の技術書として読めます。名著といわれながらも絶版となっている「ワークステーション原典」のUnix版といってもよいでしょう。Unixを伴侶とされている方々は、蔵書に加えておかれる価値はあると思います。
惜しむらくは原著の出版が1994年なのでLinuxをはじめとする近年のPC Unixについての記載が全くないことです。こればかりはいかんともしがたいですが、それらについてはWebをあたればいいですね。