現在の視点から見ると中途半端かも知れない
★★★☆☆
読み進めるにはガルブレイス独特の言い方に慣れる必要が有る。
「愚かな」「取るに足らない」「下らない」といった権威主義的な
あるいは見下したような書き方がしょっちゅうでてくる。
またこの本は大恐慌直後に書かれた訳ではなく、30年ほど後で
資料を書き写してまとめた本なので、当時の生々しさや臨場感はない。
学者のガルブレイスが他人が書いた資料を元に、当時の人々を分析した本である。
事実関係は良くまとめてあると思うが、「投機は絶対悪」というような
ガルブレイスの信念は古い気もするし、かといって1929年当時の緊迫感も無い
中途半端な感じがしてしまった。
中川昭一氏も愛読されていたとか
★★★★★
金融危機もなんとか落ち着いてきたので再び読んでみました。レバレッジの手法や、市場の異常な値動きの予兆など現在でもそのままあてはまるものばかり。この80年間、なぜ人類は進化できなかったのでしょうか。ところで北海道新聞のブログ「中川昭一氏、マーケットとの死闘」http://blog.hokkaido-np.co.jp/staff/archives/2009/10/post_837.html によると、故・中川元財務・金融相もこの本を常に手元においていたとか。当局の責任者として読むと胃が痛いだろうなあ。改めて合掌。
P・S この本で、twitterが株価の個別銘柄コメントが語源とはじめてしりました。
状況は基本的に健全である。
★★★★★
すでに多くのレビューが本書の出版経過について触れているけれど、私もそれを繰り返したいと思う。本書の出版事情というか、経過がこの本の内容をよく体現していると思うからだ。
本書は、2006年に亡くなった著名な経済学者の著作で、初版は1955年である。多くの本が消えていく中で、50年以上のロングセラーを記録しているのだからこの分野では評価も高く、古典となりつつあるようだが、版の重ね方にはかなり偏りがある。本書が最初に出版されたのは、ちょっとした株ブームの中であった。ところが突然株価が落ち込みとにわかに注目されることになり、思いがけずベストセラーリストに顔を出すことになった。ところがまもなく株価が回復すると、どこの本屋でも目にすることがなくなった、というエピソードを1997年版の中で著者は紹介している。1997年は米国株式市場が大幅な下落を記録した年である。また本書は日経クラシックスの中の1冊として復刊されたもので前述の1997年版を元としている。私が購入した復刊本の奥付をみると「2008年9月29日 第1版1刷」に続いて、「2008年11月10日 第1版5刷」とあり、短い期間に版を重ねていることがわかる同時に、この間に何があったかを改めて認識することになる。つまり本書は1929年と比肩されるような危機に見舞われたとき、突然注目を浴び、版重ねるのである。
さて肝心の内容であるが、「私は一切予想しない」という基本姿勢の下で、著者は1929年前後のアメリカ株式市場を中心としたアメリカの経済状況をまずは丁寧に解説する。普通の日本人だけでなく、おそらく専門家以外のアメリカ人にとっても馴染みのない当時の人名がしばしば登場するので、内容がすっと入ってこない箇所もあるけれど、株式市場を巡る人間模様は、80年前とほとんど違いはなく、興味深く読み進めることができた。そして本書の最大の魅力は文中に散見される、株式市場における人間心理をついた著者の警鐘というか、全く古さを感じさせない、洞察にある。詳細は是非本書に目を通して確認してもらいたいけれど、特に印象に残った言葉を抜き出し、金言集(?)を作ってみた。その紹介をもって、書評を終えたい。
・市場についてあちらこちらに話されることの大部分は昔も今も往々にして実態とはかけなれている。
・人間は知っていることばかりを話すのでもなければ、知らないことばかり話すのでもなく、知っているつもりだが、実は知らないことを話すこと が多い。
・経済というものは毎度のことながらはっきりしたターニングポイントは示してくれない。
・およそどんなきっかけでも崩壊するというのが投機ブームの性質である。(中略)何がきっかけであるかはっきりわからないし、わかっても意味 がない。
・何かをするためでなく、何もしないために開く集まりがある。これは現代でも盛んに行われている。
・人間は確信がもてないときほど独断的になりやすい。
・事態が悪化していると知りながら人はあの言葉を口にするのだー 状況は基本的に健全である と。
これらの言葉を苦笑を持って読める人は今回の暴落でそれほど痛手を被っていない人であると思うがどうであろうか。
大恐慌前後のドキュメンタリー
★★★★☆
まず始めに、この本は1929年に起こった大恐慌を分析したり、そこから今後の経済の展望を予想したりするものではありません。
当時の株価の上がり下がりを踏まえながら、アメリカ国民がどのように熱狂し暴落を迎えたか、政府・FRB・ウォール街はそのときにどのような対処を取ったか、事実の記録です。
分析および解釈は文章の端々に散らばってはいますが、まとまって書かれているのは最後の一章のみです。それでもなお、景気後退と景気上昇は繰り返され、バブルが生み出されてしまうところに本書は普遍的な価値を持っていると感じました。
この本を読むと、1929年と2008年に起こった現象は非常によく似通っていることがわかります。
拝金主義に陥り、危ない金融商品が出回り、経済は基本的に不健全になっていたにもかかわらず、風船を割ってから利下げ、減税で対処する。
ただ、対処のスピード、正確さは1929年に比べ格段に上がったように思います。
日本は株価だけで見れば、失われた10年どころではなく失いっぱなしですが、アメリカはどうでしょうか。
勢いで買ってしまった。
★★★☆☆
中身は株式市場の暴落に関する表面的な著述でした。
一歩踏み込んだ分析なり、事実なりがあればよいかと思います。
立ち読みで十分だと思われます。