戦時協力の履歴
★★★★★
が、どういう内実のものであったのかは、すでに幾つかの検証記録がありますので、それらにゆだねましょう。問題は、この作家が最終的には、どういう立場に立ったのかということです。特に最後の2年は健康上の衰えが明白でした。彼の魂はいずれの側にあったか!!
吉川英治作品の NO.1 とは思わない
★★★★☆
私が読破した吉川英治作品は本作品以外に『三国志』『新・平家物語』『私本太平記』くらいであるが、それらにあって本作に描かれていないのは「他者とのつながりの中で生きる者の苦悩、共同体・組織に所属する者としての苦悩」である。妻や子のため孝を捨てる、一族郎党のため不忠の者となる、あるいはその逆パターンと言った苦悩を一匹狼である武蔵が背負うことはない(ゼロではないが)。私の本作に対する評価が他の吉川英治作品より一ランク低いのは、そういった人間としての苦悩が描かれていないためである。
人生の教科書となる作品
★★★★☆
吉川英治作品は初めて読みました。本作品のことは以前から知っており、大河ドラマで放映されていた時には読もうと思いましたが、結局読みませんでした。
最初のほうこそそんなに面白くはなかったのですが、読んでいくうちにどんどん面白く、そして引き込まれていきました。
読んでいて一番感じられたのは、「教えられることが多い作品」だということです。特定の人物からではなく、すべての登場人物から学ぶことができます。
しかし、なぜこの作品をもっと早く読まなかったのか不思議でしょうがありません。読み終わった今深く後悔しています。
まだ読んだことがない人はぜひ読んでほしいです。きっと何かを学ぶことができると思います。
まさに不朽の名作
★★★★★
この本を読まずして、「趣味は読書」と書く人がいたら、まさに片腹痛しです。いったいあなたは何を読んでいるんですか。今から70年ほど前に書かれたものですが、今なお読むに耐えるエンターテイメントがどれほどありますか。直木賞は有名でも、その冠たる直木三十五の小説を読んだ人いますか?私は著作を挙げることさえできません。今の小説で70年後も読まれるであろう小説がいったい何冊ありますか?この小説はあと50年は大丈夫です。あなたは自分の孫と小説の書評ができます。素晴しいことではないですか。
ラストの佐々木小次郎との決闘はあまりにも有名ですが、このほかにも光るシーン、エピソードがいくつもあります。これを題材にしたドラマや映画を観ると監督になりたくなります。あまりにもイメージと違い、自分で撮り直したくなるのです。皆さんもそういうことよくあるでしょう。俳優も皆さんの好きなベストキャスティングを組んでもらって結構です。あなたが敏腕プロデューサーです。すべてがあなたの思いのまま。
新聞に足掛け5年連載されてたため、話が間延びして面白くないところもあります。作家の気分、筆の運び具合がそのまま文章に出ているのです。吉川英治ほどの大家でも原稿のマス目を埋めるのに苦労をしていたのかと思うと親しみも湧いてきます。
また、最近、有名な古武道の先生が、この本は武術家の心理がよくわかっている、と語っておられ、驚きました。何、そんな高いレベルで書かれていたものだったんですね。道理で読み継がれるわけです。
小説もロクに読んだことの無い自分ですが・・
★★★★★
吉川英治氏の小説を読むのも初めてで、
尚且つ小説も滅多に読まないのですが、
あまりの面白さに、寝るのも忘れて読みふけってしまいました。
この小説を読んでいくに従って、
「宮本武蔵」という人物に尊敬の念を抱くようになり、
また「生きる力」と「強さ」を教えられた心地がします。
読む者を、いつのまにか虜にしてしまう、
吉川英治氏の珠玉の作品に、私は心を打たれてしまいました。
この気持ちは、読んだ方にはきっと分かっていただけると思います。
多くの方に、力を与える作品です。
普段小説と無縁な方にも、是非読んでいただきたいなと思いました。