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欲望のゆくえ 子どもを性の対象とする人たち

価格: ¥1,575
カテゴリ: 単行本
ブランド: 朝日新聞出版
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ニュースではわからないこと ★★★★★
この手の事件が起きると、ニュースでは表面だけなぞり、ワイドショーでは「不可解だ」と薄っぺらなコメントで終始、そして短絡的な再販防止策が動き出す。それに憤りを感じている方は溜飲が下がると思う。そして、こんな事件は不気味だと思う人にこそ読んでほしい。

この本は、なぜ「子どもを性の対象とする」のかに真摯に向かい合っている。作者の姿勢には敬意を表したい。
児童を性の対象とする人々の思いを、誠実に追った一冊 ★★★★★
幼い頃、自分は性的暴行の被害にあった。
そんな告白から始まる本書だが、そういう書にありがちな、一方的に、「子供に欲情する者は異常だ、排除せよ」というような主張はなく、ただただ、誠実に、そのような感覚を持つ人々の言葉に耳を傾け、その主張、そして、そこに付する情報を綴っていく。
非常に冷静に書かれた書である、ということをまず感じた。

本書で綴られるのは、児童を性の対象とする人々の想い。
性について述べることだけでも憚られる中でも、異端、異常扱いされるところにいる人々の葛藤、苦悩は極めて大きい。そして、それをただ「規制すれば解決する」というような主張、風潮が本当に「子供を守る」ことに繋がるのか? という疑問へとどうしても繋がっていく(著者は、別にそのようなことを主張しているわけではないのだが)
そういう意味で、極めて大きな意義を持つ書だと思う。

ただ、だからこそ、日本における性犯罪の現状などについての統計その他の情報。また、本書の中で何度か意見として綴られる「性描写などの、人間の行動に対する影響」などについての専門家の知見……というようなものもあれば、より一層、深く考える材料になったのではないか、という風に感じる。

とは言え、本書の内容だけでも、充分に考えさせる内容である、と言えるだろう。
今こそ読むべきテーマ ★★★★★
最近、児童ポルノ規制を強化しようという動きがある。
もちろん、規制自体は歓迎すべきことなのだが、
行き過ぎた規制は逆に「子どもを性の対象とする人たち」の行き場をなくし、
性犯罪が減るどころか、増える可能性だってある。
そのさじ加減をどうするか。立法府は慎重にならなければならない。
AVがレイプや痴漢といった犯罪を助長する面もあれば、抑制する面もある。
全てが受け取り手次第なのだ。児童ポルノも同じである。
…というようなことを思わせるのが本書だ。
この本は、著者が幼少時に性被害にあった経験を述べるところから始まる。
しかし、加害者、ひいては小児性愛者に対する憎悪をあらわにすることはない。
あくまでも中立的立場で、「子どもを性の対象とする」とはどういうことか、
というテーマについて、関係者の証言を誠実に拾い上げている。
こういったテーマのルポでは、対象となる子どもの立場に立ったものが多いので、
この本はとても新鮮であった。
子どもをもつ親だけでなく、法曹関係者、法学や社会学を学ぶ学生にも読んで損はないと思う。
陪審員や法律を学んでいる方々に、お勧めの一冊。 ★★★★★
陪審員制度が始まった昨今、性の対象にされた子供たちの心の傷や、欲望を子供に向ける人達の諸問題について考える参考書として、とても役立つものではないでしょうか。
毎日、日本のどこかで起きている現在進行形の事件は小さな子を持つ親として、大変心配です。
重たくも大胆な一冊 ★★★★★
本書は、現代社会が抱えている、「性犯罪」、それも「子供を性の対象にしている性犯罪」というかなりディープな問題に、大きく踏み込んだ内容になっている。
また、前書きでは著者本人が幼児期に経験したトラウマ的な過去にも触れられており、本書にかけた著者の強い意気込みが感じられる。
しかし本書で著者は、「子供を性の対象とする人たち」側にも、「その被害に遭っている子供たち」側にも立っておらず、あくまでも中立的な立場で書いている。
少女への想いを文学で昇華させる会社員、幼女を性的に描く漫画家、二次元の少年にだけ萌える女性漫画家・・・・、さまざまな性癖の持ち主たちの赤裸々な告白を通して、「欲情する人たち」と「その被害に遭っている子どもたち」の心の闇とが解剖されていく。

本書を読み終えて、ふと「シベールの日曜日」という映画を思い出した。
戦争で記憶をなくした31歳のピエールと、父親に捨てられた12歳のフランソワーズという少女との「親子のような恋人のような」純真無垢な心の交流を描いたフランス映画である。
この映画の中で、ピエールの理解者である友人が「彼は失った過去を、少女との交流によって、もう一度生き直そうとしているんだ」と言うセリフがある。
あくまでこの映画は、青年と少女のプラトニックな愛の物語であるが、ピエールに対する世間の偏見と、それによって起きた恐ろしい悲劇とが、本書の主題とどこか結びついたのかもしれない。

あくまでもニュートラルな立ち位置から書いた著者の冷静な文体が、現代社会の隠している複雑な心の闇の問題について、重たくも大胆に投げかけた一冊である。