論考だけでなく、対談編も面白い。意気投合というか自問自答しているような今村仁司との対談、微妙なところで「交通事故」が起こっている柄谷行人との対談、お互いに足りない知識を埋め合おうとするかのような網野善彦との対談。そしてただの同窓会的おしゃべりが続く水村美苗との対談。と三者三様の対談も楽しめる……。
と……はいえ、楽しめるというのは岩井ファンであることが大前提。一見さんにはちょっと厳しいかもしれない。新しい何かが特に整理の上で提言されているわけではないし、論旨には繰り返しが多い(ま、書き下ろしではないから仕方ないだろうけれども)。岩井ファン以外だったらお楽しみ度は大幅ダウン。