値は張るが元は回収出来ます
★★★★★
新訳=現代語版『国富論』です。思い切った翻訳(日本語としての流れという
か読みやすさを重視)、注釈を全て切り取ってしまうという、これまた思い切った
編集(研究者にとっては当然有った方が良いのですが、先ず「読み物」として
手に取る読者にとっては、特に巻末にまとめる方式では更に読み難さが増すのです。
なので逐次参照よりは必要ならば、本文に盛り込んでもらった方が良い)によって
手に届く本になりました(値段はともかくね)。
第1編第1章の頭から、つまり始めからで衝撃を受けました。生産性の向上は
分業によって得られた、という点です。その後、その理由を示されて更に衝撃を
受けたのです。更に読み進めると、物の価値はどうやって決まるのか?、何が
物価に影響を与えるのか?、都市と農村の関係はどうなっているのか?国はどんな
流れで富んで行く(産業構造の変化を成す)のか?などの経済的な点や、貴族は
浪費するばかりで社会に対して何の益も成さない、と、いかにも『道徳感情論』を
著した人らしい事柄も述べられております。
読みやすくいなったとは言え、やはり二百数十年の時を乗り越えてきた本です。
手ごわい相手ですが、今に通じることも多いです。挑戦する価値有ります。
尚、上巻は序論と第1編から第3編までを収録しています。ついでに書くと
奥付入れて434pの大著なのに、良い紙と製本技術のなせる技でしょうか?
かなり薄いです。この点も評価したいです。
一度は読みたかった
★★★★★
以前から一度は読みたかったが、敷居が高いものだと思っていた。今回、古典新訳が
出版されるということで、購入した。
評論書など読むと訳の質が疑問との意見もあったが、今の時代の人が読みやすく、
そして理解しやすくするためには、ある程度緩やかな訳の方が伝わるのでは?と
思っている。やはり、難しい日本語を使用されると、読む手前で拒否感が出てきて
結局読まずじまいで、ゼロのままである。この新訳を読めば、100%の理解は、
できなくても、100%に近づくことはできる。
今後も、「資本論」などの古典が新訳で出版されることを望みたい。ある程度
長い論文であれば、文庫本よりは今回のようなハードカバーの方が読みやすいとも
思いました。
高価です
★★★★★
岩波文庫、中公文庫から発売されています。それでも新訳として出版されています。
経済学の祖としてこの本は未だに位置づけられています。然しスミスが唱えたことは現実には全く反映されていません。それを止揚としてミル、リカードおよびマルクスが止揚しています。新古典派もスミスの神の見えざる手を前提としています。まあ、経済学史を勉強する上でこの本の役割は大きいです。全ての経済学はここから出発しているのですから。ネックなのが値段が文庫版の数倍するところです。さて、今後は参考文献に位置づけられるかが問題ですけど。
現在も未来も通用する経済の話
★★★★☆
歴史的な名著です
そしてこれからもアダムスミスの国富論は語り継がれる名著であり続けるでしょう。
小麦の相場のデータとして西暦1200年以前からあるけれど日本で言えば鎌倉幕府時代なわけでここに残されていること自体が貴重な資料と言えるし
アダムスミスの時代の現代(1700年代)で経済学はかなり確立されているのがわかる。
気になる部分では国富論は時代と共に修正されていると思うが
資本の使われた先を大きく「流動資本」と「固定資本」に大別しているが資本の行き先は資産にしたほうが読みやすく感じる
そこが翻訳のミスかどうかはわからないけれど・・・。
全5編あるが第1編あたりは案外退屈な感もあるが2編以降は次第に面白くなっていきます。