翻訳はともかく、注は如何か
★★★★☆
レヴィナスが固有の思想を語り始めた最初の著作ということで、翻訳そのものが重要であるが、訳注については(少なくとも現在の時点から見れば)不満が残る(とは言え、極めて有意義なものであることも同時に言っておかねばならないが)。初訳の時はともかくとして、二度も再版の機会があったのだから、もう少し訳注の充実があっても良かったのではないか(どうも後半部分が手薄な気がする)。たとえば、ベルクソンは(ハイデッガーとともに)本書の仮想敵の一人であるが、訳注では十分な言及がない。デカルトやマールブランシュについても、もう少し説明があれば理解の助けになると思う。