心温まる声の持ち主
★★★★★
Brian Bladeの作品は買わねばなるまい,と思いながら,彼の最初のヴォーカルアルバムとか書かれていて,どんなものだかと若干恐れながら購入した.素晴らしい.彼の声は,個人的には好みだ.硬さとシブさを持ちながら,温もりのある声.そこに,曲によって女性のKelly Jones,男性のDaryl Johnsonといった人々の声が絡む.Milton Nascimentoによる"Brother"以外は,全て彼の曲である.
Rosaは彼のおばあさんの名前.本作の曲は前からつくられていて,発表するつもりはなかったそうだ.このまま世に出さなくてもいいのか,という自問と,Daniel Lanoisのすすめもあって,このアルバムが制作されたとのこと.プロデューサーは彼自身とAdam Samuelsだが,サウンドスケープにはBrian Blade Fellowshipの作品のキャラクターを十分に感じることができる.彼のプレイしているギターはシンプルでありながら,十分なシブさが感じられる.ドラムもプレイしているが,あまり期待しない方がいい.
本作の曲は,家族や愛する人に関するもので,彼自身の経験が色濃く反映されている.その内容を自分に置き換えて聴けるところもあるし,彼の故郷Louisianaや,学生時代を過ごしたNew Orleansといった,アメリカを象徴する典型的な場所がイメージもされる.あまりrhymeにはしらず,言葉をしっかりと歌う彼の歌い方に,真面目さが表れているように感じた.最後の2曲がインストゥルメンタルなのがとても印象的.彼が音楽に接したきっかけは教会だそうだが,家族をはじめとした人間関係の間には,言葉だけではなく,音(音楽)もあったんだな,と感じた.心温まる作品.