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ベーオウルフ―中世イギリス英雄叙事詩 (岩波文庫)

価格: ¥798
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
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退屈である ★☆☆☆☆
ウディ・アレンの映画に、大学で、中世英文学のべオウルフを読まされるのはやめたほうがいいぞ、という台詞がある。それは中世英語が難しいから、ととれるが、実は『ベオウルフ』がつまらないからである。
つまらないが、天下の英国、天下の英語であり、その唯一の古典である、ということで昔から大勢の中世英語の研究者がよってたかってやってきた。しかしつまらないものはつまらない。『源氏物語』に比べたら雲泥の差、ホメロスに比べたら文明の程度が違うくらい。北欧神話、はては『ニーベルンゲンの歌』のほうがまだ面白い。各国の英雄叙事詩の中で最もつまらないものである。だから誰もオペラになんかしないし、リライトもしない。日本では単に英文科を出て学者になる人が多く、そのうち一定程度が中世英語をやるから、かろうじて読まれているだけである。
古い時代の物語。 ★★★☆☆
★3/3(最高!)


この物語を楽しむためにはいくつかのポイントがあります。

まず「ベーオウルフ」はとても古い時代に作られた“物語詩”だということです。当時は吟遊詩人が人々に物語を歌って伝えたりしたために存在した形式で、現代の小説とは違って途切れた詩の文章になっているのです。

次に当時の特別なテクニックが駆使されていることです。同じものを何回も別の言い回しでいいかえる表現で、たとえば、

「優しく女神のようなあなた、
東大生より賢いあなた、
茨城県生まれなあなた、
紀香よりも美しいあなた、
のことが大好きだ」

といった感じでしょうか (笑)この表現法が人や物にしょっちゅう使われるので、知っていないと大変なことになります。

また、「ベーオウルフ」の話自体はどこかで見たことあるような話ですが、とても古い時代に作られた話なので、むしろこれを参考にアレンジして作られた作品がたくさんあるでしょう。

とても古い時代に生きた作者はベーオウルフの物語によって、騎士道精神の源流(?) その民族固有の“男気の精神”を伝えています。

現代と違うこと・同じことを探しつつ楽しんでください。

※古い時代の作品・詩の形式にあわせて、難しい日本語があてられていますが、あわせて勉強になるはずです。
英雄の原点 ★★★★☆
中世英文学の関係で読みました。なので一番読んだのは、最後の解説のところだったりする。
だけどストーリーも単純に読み物として面白かった。前半は勇士ベーオウルフが怪物に襲われ困窮しているデネ王の下に参じ、怪物と戦う話。そして後半は王となったベーオウルフが竜を退治する話。古代ゲルマンで理想とされていたであろう人物像として、前半では英雄が、後半では王者がそれぞれ描き出されている。何よりも正義を重んじ、不敗の強さを誇り勝利を王に帰するのが英雄。そして誉れと富を民に分け与えるのが王者としての責任である。
各章の最初にあらすじが書いてあるので、本文が意味わかんなくてもちゃんと読めるのがよかった。古英語独自の文法やカニング使いまくりの修辞法をここまで訳すのは大変だったと思うけど、それでも本文はやや読みにくい。ここは自分の日本語能力の鍛錬と思うしかないな。
思ったより面白い! ★★★★★
OE(古代英語)といえば、まずベーオウルフである。広辞苑にも出ている。
巻頭には写本の写真がついている。古代英語の写本なんて、字がぐちゃぐちゃ
していて読めないかと思いきや、実はけっこうきれいな字で書いてあるもの
なのである。最初の、Hwaet we garde、という文字がきれいに見えるし、
中ほどにはcyning(王)という語も見つかる。
各節のはじめにあらすじを紹介してあるので、物語内容を頭にいれてから
読むことになる。
お話は、王の甥たるベーオウルフが、怪物グレンデルとその母親を退治し、
やがて王になり50年もの間善政を敷き、ついには竜退治に赴くことになる・・・
というもの。表紙に「中世イギリス」と大きく書いてあるが、8世紀ごろの
もので、言語としては完全に古代英語であって、中世英語ではない。
多くの部族がそれぞれに王国をなして戦っているような時代であるため、
華やかな世界ではない。恋愛などもない。天気にたとえると、今にも雨が
降りそうなのに降らない、暗く曇った感じだ。宴の席でもワインよりかは
ビールとミード(蜜酒)を飲んでいるあたりが時代を感じさせる。
ベーオウルフは大活躍であり、その実績はスーパーヒーロー並みなのに、
あくまで現実味を失わない。怪物退治も、剣が効かないなど、ファンタジー
っぽさがあるにも関わらずである。おそらく、ヒーローへの称賛が、
比較的抑えた描写になっていること、ベーオウルフが傲慢にならないことなどに
よるのであろう。
物語の雰囲気は、ところどころに違うエピソードや、かつての戦いの話、
また将来の災厄の話なども織り込まれ、無常観を漂わせている。どんなことを
成し遂げようとも、「めでたしめでたし」では終わらない。戦いがしょっちゅうで
あるため、討ち死にするものも多い。豪勢な館も、いつかは焼け落ちるのである。
世の中の不安定さが、この物語にある種の暗さを与えている。
難解な詩であるため敬遠していたが、この本では字もすっきり大きく
読みやすく、あちこちに話がとぶこの詩を、詳細な注でしっかりサポート
してくれているため、非常におもしろく読めた。ベーオウルフは難しく、
暗く、つまらないのでは、という先入観が払拭された。もちろん原典に
あたれば難しいのだが。
巻末には、写本についてや、研究史について、OEの詩についての解説がついている。
訳文はときおり難しいが、『指輪物語』の王たちの喋りのような感じで、
雰囲気が出ていた。