ついに正体を現わした芦名衆の領袖、銅伯。
この不気味な老人と沢庵・十兵衛との心理戦、駆け引き、そして十兵衛と魔性の女・おゆらとの攻防--物語は、前篇とはうってかわった様相を帯び、これぞ忍法帖、という奇怪かつ妖気に満ちた展開を経て、漸く結末へ向けて収束します。
とはいえ、〃忍法帖シリーズ〃の中では異色とも言える作品です(というか、正直なところ名前が『忍法帖』なだけという気もします)。時代劇っぽいテイストも個人的には大好きですが、好き嫌いは分かれるかもしれません。でも、これもまた第一級のエンターテインメントであることは間違いないです。
あ、それと女性の方は特にご注意。この本を読むと、あなたは絶対、柳生十兵衛に恋してしまいます。