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Transition

価格: ¥1,047
カテゴリ: CD
ブランド: Grp Records
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音楽的に見ると、ジョン・コルトレーンは『Transition』では、『A Love Supreme』の素晴らしい歌詞と『Sun Ship』の嵐のような探求の間で踏みとどまっていた。『Transition』では多かれ少なかれ伝統的な手法での旋律やテンポ、調性、それに拍子にこだわっていたのだが、2ヵ月後にリリースした『Sun Ship』では、まるで『Book of Revelations』のように、音の探求に没頭しきった。タイトルテーマの紋章のような概略を丹念に探っているコルトレーンを聞くことができる。それも歌詞に重点を置いた『A Love Supreme』のようなやり方で、だ。ただし、(『Meditations』収録の)The Father, the Son and the Holy Ghostのソロ演奏中に実に鮮烈に探る高音域と低音域の間を激しく行き来する演奏法があるのだが、それをこの時すでに使っていた。他にも、その延長線上にある組曲Peace and Afterで基本的なスウィングのパルスを分解しているコルトレーンを聞くことができるし、Peace and Afterでは、このような謎めいた探求から純粋な歌詞の詠唱への抽出を試みているが、これは、どれほど大胆で熱狂的になっても変わらず、その後の全作品に一貫して現れている。 -Chip Stern
苦しみへと旅立つ前の最後の輝き ★★★★★
1965年6月10日・16日、ルディ・ヴァン・ゲルダーによってニュージャージー、イーグルウッド・クリフのヴァン・ゲルダー・スタジオにて録音。コルトレーンの死は1967年7月17日なので正に末期と言える。

残された時間が少ないことを予想しているかのような類い希な集中力。このアルバムを聴くとそう思わずにはいられない。特に6月10日に録音された1-3の集中力。粗放にテナーが展開し、いつ尽きるか予想も出来ない展開の『Transition』。ハッとするような静けさを持つ『Welcome』。そして再度走り出す5部から成る組曲『Suite』の凄さはもうコルトレーンしか表現しえなかった『奇跡』としか言いようがない。

この後、コルトレーンは死の年まで苦しみににも似た音へと向かっていく。1965年以降の『クル・セ・ママ』、『アセンション』、『オム』、『メディテイションズ』、『コズミック・ミュージック』。そのいずれも苦しい。このアルバムはそういった苦しみへと旅立つ前の最後の輝きに思える。
臨界点寸前 ★★★★★
「至上の愛」発表後、コルトレーンはより深くフリージャズに傾倒していった。一曲の演奏時間は伸び、苦み走ったテナーの音色はよりアトーナルになり、どこか痛々しくも感じられるようになった。その頃のトレーンミュージックの頂点をなす作品がこの"Transition"である。何故か死後のリリースとなっているが、この自信溢れるアナーキーなサウンドからは一寸の迷いも感じられない。もはや「フォービートジャズ」や「シーツオブサウンド」はここにはない。猛り狂ったようなテナーが雄叫びをあげ、ものすごい音圧のトレーンが、火傷しそうなほどホットで激しいトーンで吹き倒す。好き嫌いが分かれるところでもある。
両手両足を休まず動かしながらドラムスからの轟音でトレーンを煽りまくるエルヴィン・ジョーンズ。めくるめくハイスピードでホンキートンクなピアノの音をあちらこちらにまき散らすマッコイ・タイナーも危険だ。メルトダウン寸前の溶解炉を連想させるような阿鼻叫喚のフリージャズが延々と繰り広げられる。タイトル曲"Transition",五つのパートから成る"Suite"がコルトレーン流フリージャズの傑作だ。2曲目の"Welcome"が箸休めのバラードで、最後の”Vigil"がトレーンとエルヴィンのデュオ作で、二人の妥協を排したインプロヴィゼーションプレイがじっくり味わえる。
1965年5月、6月の録音。あの問題作"Ascention"の1月前。もう限界の一歩手前だったのだろう。この後程なくして、クラシックカルテットのメンバーであったエルヴィン・ジョーンズとマッコイ・タイナーはグループを去った。これを聴くには中途半端な気持ちでは跳ね返される。心して取りかかる必要がある。リスナーの全き専心を求める音楽である。
至上の愛気に入られた方はどうぞ。 ★★★★★
至上の愛が気に入った方なら気に入ると思います。激しくブロウするテナーがたまりません。完全にフリーというわけではなく、曲は構成されています。インパルスのトレーンの中でもすごく完成度の高い上級作品だと思います。
「至上の愛」発、「アセンション」行、最初のトランジット ★★★★★
Personnel:
John Coltrane - tenor saxophone
McCoy Tyner - piano(#1-3)
Jimmy Garrison - bass(#1-3)
Elvin Jones - drums

Recorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey on June 10(#1-3)and June 16(#4),1965

Transition / formal the act or process of changing from one form or state to an other
 

 1964年、「至上の愛」によって自己の音楽性の一つの頂点を極めたコルトレーンが哲学や理論によって構築された彫刻的とも言えるそのスタイルを破壊し、更なる高みへ歩を歩めた意欲作である。フリーあるいはアヴァンギャルドと形容される後期コルトレーンのカオスを思わせるサウンドはシーツ・オブ・サウンドと同じく理論の果てに生まれた表現であり、根拠を欠いたものでは決してない。
 そして「破壊とは生産である。」という芸術におけるセオリーを最もよく体現し、成功した例、それが本作ではなかろうか。「至上の愛」でなく、この「トランジション」を最高傑作に挙げる声も多い。
 

 本作のテーマとなる①はコルトレーンの新たな深淵を覗わせる内容。「至上の愛」を超えた上での恐るべき、そして静かな第一歩だ。「至上の愛」の面影を残しつつも随所にフリーを散りばめたモード・スタンダードな演奏。伝家の宝刀シーツ・オブ・サウンドは音数をぎりぎりまで削り、静寂さすら感じさせる。

 スローテンポの②はマッコイ・タイナーの流麗なピアノがコルトレーンの豊かな叙情性を引き立てている。①と③を自然に繋ぐために極めて重要なパート。艶やかで典雅、息が漏れるほど美しい。

 圧巻は③。5つのパートからなる組曲構成。その名もsuite(組曲)である。「至上の愛」をぐっとタイトに凝縮したような、あの究極の一枚の全てを、それでも半分とは行かないまでも1パート増やして21分にまとめている。

 ④は演奏日が違うこととドラムとサックスのコンビ編成ということもあって微妙に質感が違う。といってもクールダウンにぴったりだし、余韻にこういうものを聴くのも刺激があって楽しい。

 とても欲張りで充実した内容を誇る作品である。コルトレーン漬けになる。