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魔女〈上〉 (岩波文庫)

価格: ¥840
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
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下巻の後半の逆転劇は圧巻。 ★★★★☆
中世の魔女と言えば箒に跨って空を飛ぶイメージが漠然とあるが、ミシュレの魔女は神に反駁するサタンと合一する、悪魔の魔女である。
膨大な資料や文献を基に、魔女がいかにして生まれたのか、また、社会的弱者である女性がサタンと契約する論理を一人の女性を通して克明に謳い挙げたのが上巻である。一方、魔女狩りとその裁判をいくつかの事件を挙げて、実に惨たらしく、不平等で、哀しく描かれているのが下巻である。上巻と違い、多数の女性が現れるが、権力のある者による彼女たちの扱われ方はほぼ類似しており、その意味で下巻も一人の女性の悲劇的ロマンと言える。
ゆえに、一人の女性を主人公にした小説として味わうなら上・下巻併せて読まれることをお薦めする。
個人的には下巻が好きである。時代を追った魔女狩り、裁判の模様は段階的発展を遂げていることがわかる。すなわち、魔女に翻弄されて断罪された権威者が、後の方になれば逆に修道女の女を魔女にしてまるめこむという逆転を生んでいるのである。
歴史的観点から見れば、中世の神と近代の理性のかけはしとして魔女が現れたわけであり、魔女が神々の死と近代の理性を生む素地を作ったということを想起させてくれる。
以上のように「魔女」は小説としても歴史としても充分に堪能できる書となっているが、訳者の原書に忠実すぎる訳は、難解な日本語文となっており、読了するにはそれなりに覚悟しなければならないものとなっている。
ぜひ読んでみてほしいなー。 ★★★★☆
この本を手にとったのは、宗教というものの中からどうしてこういった存在が出てきたのだろう?ということでした。無知な私ですが感想としては、宗教の堕落は人間の堕落なのかも、ということでした。上巻は小説的な描写もあり、とっつき易いと思いました。下巻は少々気をいれて読むことになりましたが、インパクトは下巻のが強かったです。見当違いかもしれませんが、現代と非常に似通った問題であり、というのも魔女事件というのがたまたま現代の快楽主義的な社会状態とリンクするのではなく、人間自身が成長していないのかもしれないと思いました。ぜひ他の方にも読んでみて欲しい一冊でした。
少し昔の男性インテリからの視点 ★★★★☆
実はこの書が「魔女擁護」なのか「魔女糾弾」なのか知らずにいました。が、「上」入手後解説(解説は「上」にあります)を読んだら、なかなかに数奇な運命をたどった書なのでした....。19世紀カトリックの禁書であったという。ワクワクしますね、こういうの。このジュール・ミシュレという人は19世紀の歴史家で『フランス史』が有名。本書はあまり表立って紹介されることはなかったようです(学術方面から本書を探す方には、当たり前の知識?)。

内容は....ある女がどのように魔女にならざるを得なかったのかという上巻と有名な魔女狩り事件を丹念に紹介していく下巻。-絵による世界文化史-創元社『魔女狩り』ジャン・ミシュレ・サルマンの紹介文はこうなっています。「ロマン主義による妖術への再評価が試みられたが、この流れはミシュレ抜き には語ることが出来ない。彼は魔女を、社会の圧制に反逆する女の原型として描き出した。もはや今日の歴史家でこのような説を唱える者はいないであろう。それにもかかわらず、この「幻視者」の文章は、今もなお、迫力と喚起力を持ち続けている。」そのままです。

まあとにかく読み進むのが苦労する本でした。小説ではないことが大きな理由になりますが、私の頭では字面を追うのが精一杯。理解が追いつかないと言うのが正直なところ。小難しい論文でもないのに、一度に 50ページすすめるのがせいぜい。何とか読了できてとても嬉しい。が、苦労するだけの内容であったと思います。

海外小説『魔女の鉄槌』の作者・主人公はこれを読むと少し昔の男性インテリからの視点としてこんなものもあったのだと言うことで、救われるのではないかな?