インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

村上春樹全作品 1990~2000 第7巻 約束された場所で 村上春樹、河合隼雄に会いにいく

価格: ¥3,150
カテゴリ: 単行本
ブランド: 講談社
Amazon.co.jpで確認
春樹氏の確固たる姿勢を感じる ★★★★★
『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』
この対談を読んでいて思ったのはお二人の「当意即妙」な応答と
「かゆいところに手が届く」的な視点の共通性。
対談のクオリティの高さは読者の知的好奇心を充分満足させると思う。
《殺すことによって癒される人》《結婚と「井戸掘り」》など
とても興味深く読める。

お互い人見知りな性格ということだが、
会話が弾んだのには、春樹氏のいうように河合先生が
「10まで説明しなくても、3くらいですっと受け入れてくれる」人であり
「決して自分の考えで相手を動かそうとしない」ことにあったからだろう。

河合先生のふわっとした柔らかいお人柄とは対照的な、
心理療法家として優秀な経験則も垣間見られ、
河合ファンにとっても嬉しい対談である。
会話の中で、春樹氏の過去の作品のテーゼや
自分の小説に求めるものの確固たる姿勢が表現され清々しさを感じた。

『約束された場所で』
オウム真理教の信者のインタビューの中で、
春樹氏が「ちょっと待って下さい」と信者の発言のロジックに
制止を入れる場面があり、それが普通の生活をしてきた私にとっても
共感を覚える部分であった。

しかし、普通の生活をしてきた私達一般人と、
カルト教団の狭いシステムにいた彼ら信者の世界とは、
実によく似た社会構造が形成されていることが浮き彫りになってくる。
あちら側とこちら側を隔てているものは
極めて「薄っぺらい壁」であることが本書で実感できる。
オウムという名の闇 ★★★★☆
地下鉄サリン事件の後、オウム真理教の信者(または、元信者)に対する著者のインタビューをまとめた本。

読んでみると、なぜエリートと呼ばれるような人々が、超能力の獲得などをうたい文句にしている怪しげな宗教にひかれていったのかがよく分かる。彼らの大部分は純粋である。なにか理想的なものを追い求める傾向がある。彼らは、この世の灰色の部分を認めることができない。彼らにとって、この世界は白か黒でなければならないのだ。しかし、現実の世界には灰色の部分もある。それを受け入れ、その中でバランスを取りながら生きていけるということが大人になるということだと思うのだが、オウムの信者にはそれができない。彼らは、自分たちの理想を求め、純粋な理想郷(オウムの目指す世界)を作る仕事に身を投じていく。

また、そこ(オウム)には、彼らの疑問に対する完全な答えが用意されている。その論理には、矛盾もあいまいさもない。だからこそ、頭の良い、しかし大人になりきれないエリートたちが入信していったのだろう。

そして、彼らにとってオウムという世界は完全に真っ白な理想郷(あるいは、それに近いもの)である。それゆえ、外の世界は彼らから見れば黒色(悪)になってしまう。そこから、サリン事件のような犯罪が生じてしまったと言える。彼らから見れば、自分たちを邪魔する現実世界は完全な悪にほかならなかったのだ。

この本を読めば、オウム事件の真相の一端を垣間見ることができる。

全集の第2期ついに完結 ★★★★☆
本書に収録されている「約束された場所で」はポスト・アンダーグラウンドということでオウム心理教団の信者(元信者)のインタビュー集なのだが、これが読ませる。一通り読み終えたあとで感じたことは、ぼくと彼らの間に隔絶されたボーダーのようなものが特別存在するわけではないということだった。おかしな人が入信しているわけではなく、あくまでふつうの人たちであった。だからといって、教団が犯した事件そのものは全く許せるものではない。教団は凶器の集団へと変貌を遂げてしまったのだが、現在の社会の中でオウムというものが成立し受け入れられる土壌というのは確実に存在していたのだ。1995年以降、我々の社会は変わったのだろうか? ないしは根っ子のところでは何も変わってはおらず、第2のオウム的なものが再生産されることになるのか?
対談の名手 ★★★★☆
村上さんの対談は、いつも楽しめるものです。今回も河合さんとわかりやすく
対談しています。岩波書店というお堅い書店から出版されたこともあり、結構構えてしまいましたが、内容は楽しく読むことが出来ました。
次の10年の中でどんな作品群を生み出していくのか?いつまでも成長する作家として最前線を走り続けて欲しい作家です。