凄い女優たち
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テレビ史上に残る名作。テレビ時代劇の最高峰。多くの人たちが、言葉を尽くして賛辞を惜しまない『新選組血風録』。その迫力ある殺陣、迫真の演技、心の奥深くに響く音楽、人間愛に根ざしたドラマは、時を超え時代を越えて、観る人に感動を与え続けるだろう。
「第三話 昏い炎」は、芹沢一派粛清を描く。雷鳴轟く中での、暗殺場面は思わず身震いするほどの迫力。芹沢たちの乱行の犠牲となる女を演じる、三田登喜子の演技のすさまじさはどうだろう。おそらく、今、これほどの演技を目にすることは難しいだろう。
「第四話 胡沙笛を吹く武士」は、原作を見事に映像化した好例。人間の業を悲しい笛の音に乗せて哀感を込めて描く。土方歳三の、組織に生きる者の悲しみをも巧みに表現。栗塚旭の後姿に濃い哀愁が漂う。
「第五話 海仙寺党全滅」は、謹直で不言実行の剣の達人、斎藤一の行動を通して「士道とは何か」を形で見せる。斎藤の対極にいる中倉主膳を夏目俊二が好演。左右田一平が抜群のカッコ良さ。
「第六話 鴨千鳥」は、土方歳三の淡い恋を描く。桂小五郎を慕う幾松を演じる松村安子と、土方に心を寄せるおみねを演じる丘さとみが絶品。立場は違っても、恋する女の強さ優しさ、変転する運命の過酷さが胸を打つ。
芹沢鴨暗殺劇
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「昏(くら)い炎」は、芹沢鴨暗殺のお話。いかに身勝手で乱暴なことをしていても武芸には秀でていた芹沢をいかに排除するかということに苦心する試衛館グループの面々。芹沢一派と近藤一派の勢力争いの中で土方歳三の策士である面と、武士よりも武士らしく士道を追求する人生を選んだ厳しい面と、傍若無人な侍に振り回される市井の人々を思いやる情け深い面とが描かれていて、多面的な土方歳三像が見られます。栗塚旭さんのキリッとした表情や涼しい声もカッコイイです。試衛館メンバーのキャスティングも素晴らしく、一見の価値あり、の作品。芹沢鴨暗殺メンバーが史実とは異なっていたりもしますが、作品全体の締まった雰囲気がすごくよいです。