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外交の力

価格: ¥1,890
カテゴリ: 単行本
ブランド: 日本経済新聞出版社
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国益を見誤る ★★☆☆☆
私のような考え方をしていると、どうしても北朝鮮を小さな問題として考えることは出来ないのだが、そういう考えを持つ人とはどういう人か、北朝鮮外交を実現したこの人の考えを除いてみようと本書を手にしました。すごいですよ害務省の大患部といわれていたのですからね。

幼少時代〜学生時代のエピソードには国を想う熱情などはあまり感じませんでしたね。漠然と外交官の道を選んだのではないか。事務官というのはこういうものなのだろうか。たしかに事務官が政治思想を強く打ち出すのは良くないかもしれない。しかし、国益というものへの執着がいまいち伝わらない。さまざまな外交局面でうまく立ち回ったような書きっぷりだが、それが今の日本だと思えば彼らのやってきたことは国益に結びついていない。

更に言えば、「政治家の能力が低いので、いろいろ教えてやってる」という姿勢がにじみ出ているとも想いますが、皆さんはまた違う印象を受けるかもしれません。
他国への同情より日本人の誇り ★★☆☆☆
他国民の同情心は人一倍強いのだが、日本人の安全保障については、結構ニブイ。村山談話が踏襲されているのは、日中共同宣言にこっそり外務官僚が村山談話を前提としてしまったからにほかならない。日本、中国、韓国による東アジア共同体など、政治体制の違い、国民感情、歴史を考えると成立しないのは明らか。戦後教育のオニッコ外務官僚。
黙して語らずだった著者のささやかな反撃 ★★★★☆
 「*1)黙して語らず」故にマスコミ(そして一部の身内)に叩かれた著者の
ささやかな反撃と言える一冊かと。

*1)秘密裏に事を進める為には、最小限の人間にしか話さない、というスタンス。
方法論としては良く分かる。

 乱暴に書けば著者が関わった外交交渉(特に米軍再編問題と対北朝鮮)の
記録と、著者なりの「外交(含む日本の今後)とは、外交官とはかくあるべし」
という理念の二本立てです。

 理念については個々人の受けとらえ方の問題になりますから、賛成・反対
それぞれ出てくるでしょう。ただ、実務を担っていた人間がどういった信念を
持ち、それをどういった方法で具現化しようとしたか?という点が明らかになる
ということは、後日、振り返る際の財産となるのです。

 ただ、御自身の成果を強調するあまり、外交やそれを担う外務省の問題にまで
深く踏み込んでいないのです(それを批判することは、或る意味自分の仕事を
批判することになるから、なかなか手を出せないのも分かります)。

 確かに最終章では約30p使って、政治・官僚・マスコミそれぞれに対し、改善策
的なものは示しています。

 が、肝心の外務省はどうなのか?と。能動的な外交を行っていこう、と説く
一方で、この国の外交は極一部を除いて受動的なそれでした。確かにアメリカと
の関係があるので、自分の意志でと言うのも、なかなか難しいものはあったの
でしょう。

 しかし「能動的に」と説いたところで、そこに至るノウハウや信念といった
ものが、欠けている以上、そう簡単に出来るものでも無い。戦後だけに限っても
国力と外交力が比例しているとは到底思えません。その点を当事者で、且つ
成果を出した著者に語って欲しかった、と思った次第です。
ある職人の姿として ★★★★★
 北朝鮮関係で名を馳せた田中均の著作である。

 この数年外交官の書いた本が増えてきた気がする。佐藤優を代表とし 東郷和彦、それに今回の田中均である。外交官の書いた本が注目を浴び、かつ 読まれるという風潮が最近出てきたものであるとするなら そこには何がしかの時代のシグナルがあると考えるべきだ。冷戦終了後に 逆に一気に流動化してきた世界の中で 日本国民が「外交」の重要性を感じる下地が出来てきている可能性も否定はできないと思う。

 本書から見える田中均という方は 「職人」だ。これは 例えば 東郷和彦という方が「哲学者」という雰囲気であったことを考えると 「職人性」が際立つ。
 著者は本書で 外交を考えるにあたり 世界の中での日本の位置づけをしっかりと示すビジョンが必要だと繰り返し言う。その「位置づけ」に当たっては日本の国益の最大化を目的とするという点もぶれていない。
 東郷の場合には その「国益」を考えるに際し 歴史に戻り そこからいささか形而上学的な方向性を出してきている気がする。一方 著者の場合には 哲学というよりは より冷徹な現実主義を「国益判断」の芯に据えている気がした。佐藤優は外交においては「薄っぺらな論理が必要である」と どこかで語っていたが その点では著者は佐藤の近くに立っている気がする。

 おそらく 職業的な外交官としては そのアプローチではないと 能力が発揮されない場面が多いのだろう。但し ここで僕が敢えて 違和感を感じるとしたら 「その現実主義とは どのような現実主義なのか」といういささか青臭い部分だ。もっと言うと「国益とはそもそも現実的には何なのか」という明快な定義を一つ出してあったらよかったのではという点だ。

 本作を読んで 外交官という仕事の大変さは良く分かった。これは相当の覚悟がないとやれないだろう。
プロフェッショナル外交官の考え方と仕事術! ★★★★★
拉致問題などでのタフネゴシエーター、秘密主義で実績をあげる異色の外交官についてもっと知りたいと思い購入したが、最近読んだ本で最も面白いと言えるくらいよかった。著者の外交官としてのキャリアはそのままこの30年くらいの日本外交の軌跡であった。日米貿易摩擦、普天間基地の移転と自衛隊の海外派遣、北朝鮮問題といった外交課題に、著者が1外交官として、それぞれのポストでどのようなことを考え、交渉し、判断していったかが述べられていて、それが本当に興味深く、その交渉のノウハウ、仕事や社会、そして世界を大きい視点から俯瞰し、戦略を立てて主体的に行動するという姿勢を知り、自分の仕事や生き方に活かせるように思えた。新聞や教科書に記載されている外交案件を当事者として小説を読むように体感できた。「国際社会で国力以上の影響力を持てるかどうかは、外交の力による」という言葉が印象に残った。