インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

狐罠 (講談社文庫)

価格: ¥780
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
Amazon.co.jpで確認
作者の最高傑作 ★★★★★
 北森鴻で一冊だけ読むのなら、本作がおすすめ。

 非常に長い話ですが、その長さ、まったくのたるみがありません。
 ジャンル的にはミステリーのコンゲームに含まれるのでしょうが、サスペンスとしても手に汗握る迫力であるし、職業小説としてもよく調べられた大変面白いものになっています。

 それにキャラクター小説としても魅力的です。
 主人公の宇佐美陶子は、教養も美貌も若さもありながら、離婚経験者でかなり寂しい生活を送っており、頼りになる友人はいるけれど、まるっきり誰かに守ってもらうことはできません。いや、守られることを良しとしない、誇り高い女性です。おそらくとても育ちが良いにもかかわらず、犯罪すれすれのかけひきがなされる怪しい世界で、一匹狼として生きている。
 本作以降、彼女でシリーズが書かれただけでなく、他のシリーズにも何度も顔を出す、作者にとって最も重要なキャラクター、まさに北森鴻にとってのディーヴァと言える女性です。
 ただ強いだけでなく、女としての弱さもあり、にもかかわらずその弱さをねじ伏せる気の強さのある陶子の奮闘は、素晴らしいし、読んでいて勇気が出てきます。

 推理作家協会賞を受賞した『花の下にて春死なむ』が男性向きなら、本作は女性向き。女性にこそ読んでもらいたい。
《「旗師」宇佐見陶子》シリーズの第一長編 ★★★★☆

東都芸術大学の英国人教授“プロフェッサーD”の薫陶を受け、現在では
店舗を持たず、己の鑑識眼だけを頼りに骨董を商う「旗師」として頭角を
現している宇佐見陶子。

そんな彼女が、同業の「橘薫堂」主人・橘が仕掛けた、プロを騙す「目利き殺し」に
嵌められてしまう。プライドを傷つけられた陶子は、橘に「目利き殺し」を仕掛け返す
ことで報復を果たそうと、プロフェッサーDのつてを頼り、伝説の贋作師・潮見に協力
を求める。

一方、その頃、橘薫堂では、外商の田倉俊子が刺殺される事件が起こり……。



騙される方が悪いという非情なルールが支配する古美術業界を舞台に、
虚々実々の駆け引きが描かれる、コン・ゲーム小説にして本格ミステリ。

陶子が仕掛ける「目利き殺し」の背景には、彼女が思いもしなかった
遠大な策謀と歪な情念が渦巻いており、最終的に示されるその“罠”
の重層性は圧巻です。

また、殺人事件の方も、被害者の職業にはそぐわない遺留品が存在
したことを踏まえて構築される、犯人特定のロジックが鮮やかでした。




珠玉ぞろいの短編の前段階としてどうぞ ★★★★☆
 これから北森氏を読む方へ。北森鴻は、実は短編に珠玉の作品が多い。ただ、シリーズものの続編が多いので、これも「緋友禅」など冬狐堂シリーズへの入り口として読んでほしい。はっきり言えば、氏の長編はちょっともたつくというか、ごちゃごちゃする感が否めない。本書も例外ではないのだが(だから星四つ)、読んでおいて前提がわかった方が、短編が何倍も楽しめる。
 今でもこういう風呂敷画商(古いね)のような世界が、確かに存在するのだ。
裏返し ★★★★☆
骨董業界の裏側というか、人の思惑が良く描かれている。言葉には裏があるし、人は思いを全て伝えようとはしない。化かし合いなのだ。裏の裏は表ではなく、違う裏になる。そんな世界が興味深かった。
だましあい ★★★★☆
 1997年に出た単行本の文庫化。
 宇佐見陶子がデビューする作品。骨董世界のだましあいを描いたコン・ゲーム。片仮名でコン・ゲームと書くべきではないかも知れない。コン・ゲームというと、軽いのりのスピーディな小説をイメージしてしまうが、本書はそうではない。いかにも北森作品らしく、重苦しい雰囲気に満ちている。結末の暗さと後味の悪さは一級品だ。好きな人は好きだろう。
 ただ、肝心の「だまし」がいまひとつに感じられる。また、著者には厚いものを書くだけの構成力がないのではと思う。
 骨董業界の裏側、美術作品の知識は良く調べられており、勉強になった。