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OUT 上 (講談社文庫 き 32-3)

価格: ¥700
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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コワいですね、コワいですね、コワいですね。 ★★★★☆
佐藤優氏『人生相談』に取り上げられていて、
手にした本。
殺人事件を扱っているが、
いわゆる推理物ではない。
犯人側の心理描写、
登場人物が背負う各々の“過ち”と共に物語が構成されている。
臨場感に溢れ、“スゴイ”。
多くの人々によってつながり、支えあってこの世はある。
目には見えないモノに思いをいたし、
下巻に読み進む。

欲望の下に潜む得体の知れないモノが現れ、コワい。
最後の描写は作者の手法により、際立ち“コワい”。
“人を思いやる”、確かに言葉は美しい。
その人とは何だろうか。
雅子の人生に対する絶望 ★★★★★
この雅子という人は、今の世の中で、普通に存在しているのではないだろうか。こう思わせるあたりが怖い。この作品が書かれた12年前には、まだまだ特殊な人だったと思えるが今では・・・
時代を先取りした問題作だろう。
凄過ぎる作品 ★★★★★
桐野氏の作品を読んだのは初めて(売れっ子なので名前はよく耳にしていたのだが…)。
きっかけは「主婦パート 最大の非正規雇用」(集英社新書)という新書で紹介されていたため。

この新書では主婦パートの厳しさが訴えてあったのだが、本書でも深夜の弁当工場で働く主婦達が過酷な労働条件の下で苦しみながらも一生懸命に生きる様子が非常によく伝わってきた。
冷え切った家庭(夫婦関係)、厳しい家計、介護の苦労など現代社会の問題を凝縮しているような作品であった。
かなりボリュームがあるものの、各人や心理状態などの描写が巧く非常に読み易くもある。
また、しっかりした良妻賢母型の主婦やだらしない生活(見栄をはり借金に苦しむ)を送る主婦など登場人物の設定も実在しそうなもの。
残酷な場面の描写は、新堂冬樹のようなグロさも印象的。

2日間かけて隙間時間に集中し一気に読了したが、この勢いで下巻に突入。
下巻が展開がとても楽しみ。
桐野夏生にハマりそうである。
細かい描写に引き込まれる作品 ★★★★★
登場人物がとても多いのですが、それぞれ性格が違うのと、描写がしっかりしているので、ごちゃごちゃになることはありません。
上巻と下巻で、ストーリーがきれいに分かれています。レコードのA面、B面のようです。ぐいぐいと引き込まれ、下巻は一気に読んでしまいました。
ただ、相当細かく取材されたと思いますが、ブラジルの描写に、少し違和感がありました。サンパウロの日本人街近辺にサントスのスタジアムは無いし、ブラジルに行くにはビザが必要だと言うことが無視されているようでした。
桐野夏生はすごい。 ★★★★★
桐野夏生はすごい。
「グロテスク」のときも思ったが、どうしてここまで冷徹に人間の嫌な面を見つめられるのか。しかもそれをエンターテイメントに仕上げてしまう。
最近「冒険の国」というデビュー前の小説を読んだが、このときから桐野夏生は「閉塞的な状況にある人間の悪意」をそれがあるのが当然のことであるかのように冷静に描写している。
桐野夏生はまるで心を解剖するように、絶望や殺意や無責任や怠惰や無関心や欲望や疲労や欺瞞や嫉妬や正当化や渇望やわずかばかりの希望や重くのしかかる諦めを、鋭利なメスで切り出して、物語として人々の目の前に正しく並べ直してみせる。
「冒険の国」と「OUT」が大きく違うのは、「冒険の国」が灰色の霧に覆われたような現実の描写のまま終わったのに対し、「OUT」には強い光があることだ。それは希望の光なのか破滅の光なのか分からないが。その光は、殺人的な出口へ、血塗られたカタルシスへ、主人公と読者を導く。クールだ。
小説の登場人物の悪意を見つめることは、作家が自分の中の悪意を見つめることだ。それはキツい作業のはずだが、桐野夏生はそれを途中で投げ出さず、自己憐憫にも流されず、怒りに叫びだすこともなく、隙のない長編小説にしてしまう。「OUT」の主人公、香取雅子のような、すごい女だと思う。

あとね。これはラブストーリーなのだ。ああ、そこに持って来るかって、うれしくなった。