ブラッド・メルドーは1970年8月23日生まれ、ドイツ人眼科医の養子として養女の姉とともに育つ。ホルヘ・ロッシィ、ラリー・グレナディアとの出会いはニュー・スクール時代に遡る。その才能に最初に気がついたのは母、そしてマット・ピアソン(ワーナー・ブラザース)だった。24才だったブラッド・メルドーはワーナーとの契約の時に一つだけ条件を出した。『アーティストとしての自分に忠実であることを何よりも大切にしたい、それを理解してもらいたい』である。
今や、自らの感性に正して良いものは自らのものに取り上げるというブラッド・メルドーの世界は見事にこのアルバムで完成したといえるだろう。誰が他にRadioheadをジャズ・トリオでやろうなどと考えるだろうか?27才のメルドーは既にジャズ・ジャイアントの仲間入りをこのアルバムで果たしたと言えるだろう。
ジャケットの中にブラッドの手が大写しになっているがわりと小さな手である。この手がこれから作り出す音楽はジャズの歴史を書き換えるだろう。